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令和2年・初場所雑記

この欄を書くようになってから何度も使ってきたフレーズですが……まさか徳勝龍とは「まったく予想外の優勝」 いや今回ほど、この言葉にふさわしい優勝はないでしょう。

さんざん報道されているように「幕尻での優勝」「奈良県出身者の優勝」はともにたいへんレア。平幕優勝自体がレアなのに、さらにそこに付加価値がついてるんですからね。

前回の、そしてこれまで唯一だった幕尻優勝は平成12年(2000年)春場所の貴闘力。いま注目の幕下・納谷(今場所は残念ながら十両目前で負け越し)とその弟で今場所序の口デビューの夢道鵬の兄弟の父親ですね。ま、いろいろあって協会は触れたがらない存在だけど。息子たちがこんなに成長しているんだから、あの優勝が20年近く前なのも道理。

ただこの時の番付では4横綱3大関3関脇がいたこともあって、幕尻といっても西前頭14枚目。今回の徳勝龍は西前頭17枚目なので、優勝力士としては番付最下位の記録を作ったことになる(昭和14年春場所に同じく西17枚目で出羽湊が優勝しているが、この時は逆に前頭が18枚目まであったので幕尻優勝ではない) なにげにスゴイ偉業ですね。

じつはもうひとつ、今回の平幕優勝で達成された新記録があります。

一昨年(平成30年)初場所の栃ノ心、昨年(令和元年)夏場所の朝乃山に続いて、これで3年連続で平幕優勝が発生したのです。これじつは大相撲史上初めて。これまで2年連続の年は昭和5年6年、35年36年、平成3年4年、12年13年と4回もあったのですが、いずれも2年連続止まり。年間2回の年は昭和47年にあったし、平成3年と4年には2年連続で2場所ずつの平幕優勝がスコアされているのですが、3年連続は初めてなのです。まさに盲点の大記録。

そしてもうひとつ、今回の徳勝龍の優勝は長い大相撲の優勝史(496回目)のなかで、ちょうど30回目の平幕優勝なのです。キリ番ですね。ただし、琴錦が一人で2回平幕優勝を成し遂げているので、徳勝龍は第29代平幕優勝者になりますが。

33歳のベテラン、しかも先場所は十両で今場所は再入幕早々、昨年は1場所しか幕内に在籍せず、その成績も4勝11敗と大負け、一昨年は6場所すべて十両暮らしだったという徳勝龍の優勝は、まさに大穴中の大穴、競馬でいえば万馬券どころの話ではなかったわけです。

イギリスのブックメイカ―(公認賭け屋)は大相撲の優勝予想も実施しているとか聞いたことがありますが、今場所の的中者にはどのくらいの配当が転がり込んだんでしょうか。

そんな事態になったのは、もちろん徳勝龍の頑張りがあってこそですが、早々に休場してしまった、白鵬鶴竜の両横綱の責任は大きいですね。とくに鶴竜はこれで3場所連続の休場。そろそろ身辺がうるさくなってきそうですので、春場所は頑張っていただきたい。

そして大関陣。貴景勝は頑張ったイメージを残しましたが(とはいっても最後に脱落して準優勝にも届かなかったんですが)、もう一方の豪栄道、そして大関復帰をかけた高安の2人はガッカリ。ともにキビシイ結果を突きつけられた格好でしたね。来場所以降の巻き返しはあるのでしょうか?

同じくガッカリだったのが、先場所の大関盗りに失敗して平幕に下がった御嶽海。今場所の負け越しははっきり言って唖然です。ある意味、徳勝龍の優勝なみのサプライズでした。怪我のせいもあったようですが、大関盗りは白紙どころか完全消滅。ここから巻き返せるんでしょうか? なによりも怪我をきっちり治すのが必要だと思うんですが。

かわって大関候補一番手になった朝乃山。中盤に崩れかかって一時はどうなるかと思いましたが、千秋楽になんとか10勝目を挙げ、2場所合計21勝として春場所は大関チャレンジの資格を確保しました。豪栄道の転落で、来場所は一人大関の番付となるだけに大チャンスです。今場所の相撲内容はやや不安定さを露呈した感じですが、なんとか成就してもらいたいものです。

それに続くのは、13勝で準優勝となった正代でしょうか。先場所11勝、今場所13勝で合計24勝は、なにげに朝乃山を上回ってます。2場所とも平幕だったから話題に上りませんが、急速に力をつけてきているので一気に大関盗りへ突進するかもしれません。

そして、正代同様「眠れる獅子」だった北勝富士豊山遠藤といった面々が目覚めた模様で、このままいくと年内にも横綱大関という上位陣の顔ぶれは大幅に変わるかもしれません(ただここのところずっとそう思って未だに成っていないわけですが)

そんななか、場所後の1月28日、大関から転落が決まった豪栄道の引退が発表されました。今場所の相撲ぶりと成績を見れば、まあ仕方ないかと思います。長い間お疲れさまでした。

そして実はこの引退が大きな影響をもたらすのが、来場所の番付です。

今場所の三役陣では朝乃山だけが地位をキープし、残りの3人(高安、大栄翔、阿炎)は陥落。いっぽうで前頭上位には筆頭の遠藤(9勝で殊勲賞)、2枚目の北勝富士(11勝で技能賞)そして4枚目の正代という好成績者がずらり。豪栄道が関脇に陥落すれば三役の空席は2つだけ。これで番付編成会議は大揉めになりそうだったんですが、豪栄道の引退で空席は3つになり、めでたくこの3人の三役復帰は決定的でしょう。

そして関取の座がひとつ空いたわけで、幕内昇進、十両昇進戦線にも大きな影響が出そうです。戦線上の力士諸君はドキドキの展開ですかね。

番付編成会議、そして番付発表からも目が離せない情勢ですね。

とにかく、時代の変わり目が、ついにようやくとうとうやって来た気がします。さて春場所はどんなことになるんでしょうか。

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