けっきょくは白鵬
夏場所は、横綱・白鵬の全勝優勝で幕を閉じた。綱取りを期待された稀勢の里は、またも白鵬の壁に跳ね返された形だ。
今場所もまた「けっきょくは白鵬」だったわけだ。
この1年ほど、何度か優勝を逃がし、優勝しても、周囲が星を落としての優勝がほとんどだった。それゆえ、白鵬が強いというよりは、周囲が弱いというイメージだった。そのことが、白鵬の優勝の価値を下げている感もあった。絶対的な強さをなくしたのではないかとも言われていたが、今場所の白鵬は完全復活といえよう。
だが、この夏場所では大関・稀勢の里が肉薄。13日目の全勝同士での対戦まで漕ぎつけたことで、優勝争いは盛り上がった(そのあとコケて千秋楽まで優勝争いを引っ張れなかったのはマイナス) ここしばらくは見られなかった強敵が登場したことで、白鵬のまったくの独走ではなかったのだ。
にもかかわらず、その敵を倒して全勝で優勝したのだから、白鵬の力が衰えたなんてのは、まったくの虚構だったことを証明したといえよう。
白鵬は悩まされていたのは、目標の喪失によるモチベーションの低下。
優勝回数で大鵬を越え、通算勝ち星も1000勝に迫って千代の富士を越えるのも時間の問題。すでに北の湖らの記録もことごとく塗り替えている。もはや目標がなくなってきたことは、本人も漏らしてきた。
だがその白鵬にして、唯一越えていない金字塔がある。
69連勝への挑戦だ。
2010年に63連勝まで積み上げたことはあるが、惜しくもストップ。以来、連勝記録への挑戦は実現していない。
だが、今回のこの全勝優勝は、それへの挑戦をあらためて意識させるものになったのではなかろうか。
先の春場所は初日に黒星を喫したあとで14連勝を飾ったので、夏場所で全勝したことにより、通算29連勝。
まだまだ遠くとはいえ、白鵬の前に残る唯一の大記録、角聖・双葉山の69連勝こそ、白鵬が越えねばならないもの。そしてひょっとすると、その最後のチャンスがやってきたのかもしれない。
まだ気が早いが、仮に次の名古屋場所で全勝優勝すれば44連勝、秋場所で59連勝、そして九州場所の10日目に金字塔が……ちょっと期待してみたい。それくらい、夏場所の白鵬は強く、スキがなかった。
ところで、前の連勝記録の時に、それを阻止したのは稀勢の里だった。
今回も白鵬が連勝を積み重ねた場合、立ちはだかるのはまたも稀勢の里か、あるいは日馬富士、鶴竜の横綱陣なのか。
あるいは名古屋場所では新三役が有望で、初対決が確実な新星・御嶽海か、復調の兆しを見せ番付を回復してきた遠藤か、あるいは新十両で大勝ちした大器・佐藤なのか。
もしこのまま大記録に白鵬が迫ってゆくのならば、その連勝を阻止したものこそが、次代の覇者となることを約束されるだろう。
さあ、どうなってゆくのか。いまから名古屋場所が待ち遠しい。
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