「K」の問題

はじめにハッキリしておきたい。どんな理由や事情があれ、違法な禁止薬物の使用は「悪」 私は絶対に是認しない。

ということを踏まえて、それでも今回ニュースをにぎわせてしまった「K」の問題には、いささかの疑問がある。

ひとつは報道の姿勢。

今回の騒動で、「K」は逮捕されただけで、まだ有罪か無罪かは確定していないし、そもそも起訴すらされていない。この段階で、ここまで大々的に実名を報じるのは、いかがなものなのか。

警察が「お手柄」を発表したいのはわかるし、刺激的な「ネタ」を逃がしたくない報道各社の台所事情もわからんではないが、それにしても、敢えて常套句を使えば、まるで鬼の首でも獲ったような大騒ぎ。あっというまに「K」は天下の大悪人にされてしまった。

ええと「推定無罪」って言葉、みんな知らないのかな?

これは今回の騒ぎに限らない。

警察が逮捕令状を申請し、それが認められたのだから、それなりの根拠があるにちがいないという理屈なんだろう。だが、その警察や検察の捜査の結果、多くの冤罪事件が起きてきたのもまた事実。もしもこの騒ぎが、すべて間違いだったときに、誰がどう責任を取ってくれるのか?

過去の事例に鑑みると「誰も責任取らない」ということだ。

しかし、逮捕の一報が流れると、いっせいに「容疑者」(この段階ではまだ犯人じゃないし、法を犯したかどうかは不確定)の身辺、交友関係、それこそプライバシーの隅々まで、それ解禁とばかりに暴き立てる。それこそ、我こそは正義といわんばかりに。

ほんとにいいのかい、それで?

さてもうひとつ、今回の問題を機に、ぜひ関係各位にお考えいただきたい問題がある。

K」の述懐にあったということば。

プロ野球をやめた後、することがなくなった

これを、プロ野球関係者はどう考えるのだ?

もちろん、だからといってクスリに走っていいわけではないし、こんなこと何の言いわけにもならない。

しかし、日本のプロ野球機構は、引退後の選手の面倒を、どれだけ見てくれてるんだ?

一部のスター選手ならば、指導者、解説者や評論家などの道がある。だが解説者や評論家はそんなに数が必要なわけではないし、誰しもができるわけでもない。タレントに転身できるのは、ごく一部の特殊な選手たちだけだろう。

では、残る大部分の元・選手たちは? よく美談として「あの選手は今?」的な番組や記事が出る。野球から離れ、会社勤めなどに転身し、今はあのころの経験を活かして頑張ってますといった美談。

それはそれでけっこうなことだし、皆が皆そうできるなら、何の問題もない。

しかし考えてみよう。

プロ野球選手を目指して、それこそ子供のころから、中学、高校、大学、場合によっては社会人になっても野球一筋。それこそ全精力を野球というスポーツにつぎ込んでプロになった人々だ。

なぜ、そんな彼らが、引退したら「野球から離れ」なければならないんだ?

これは、プロ野球に限らない問題だ。引退したスポーツ選手が、引退後もその競技と関わり続けるには?

誰しも簡単に思いつくのは「指導者」だろう。コーチや監督として、野球に関わり続け、後進の指導・育成にあたるのなら、それを一生続けることもできるはず。

べつに、プロのトップでの監督やコーチだけが指導者ではない。

事実、引退したサッカー選手が、アマチュアや子供たちの指導者をつとめている話は、よく耳にする。サッカーの世界では、指導者になるための資格があり、その資格を取得するための講習や試験がちゃんとあるのだ。もちろん全員がそうできるわけでも、指導者になれば一生安泰でもないが、そこに「道」が用意されているのは間違いない。

サッカーよりもはるかに長い歴史を持つプロ野球は、どうなんだ?

日本の野球人口は、まだまだサッカーよりも多いと聞く。子どもから老人まで、男女を問わず、全国津々浦々に野球をこころざし、楽しもうとする人々はたくさんいる。そうした人々に野球を教える指導者は、いくらいてもいいはずだ。

プロとアマの野球が対立してきた長い歴史が、選手の引退後の道に大きな溝を刻んできたことは間違いないだろう。ついこの前まで、プロ経験者は高校野球の指導すらできなかった。バカバカしい話だ。

日本プロ野球は、このへんで一度考えて見るほうがいい。

プロ野球は、選手を使い捨てにし続けるのか?

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