ジャッキー・チェンと勝負する(44)

2003年の「シャンハイ・ナイト」です。2000年の「シャンハイ・ヌーン」の続編であることは言うまでもありません。ちなみに「ナイト」は「夜」の「NIGHT」じゃなくて、「騎士」の「KNIGHT」 その理由は、映画のラストでわかります。

ジャッキーとオーウェン・ウィルソンの「シャンハイ・ヌーン」コンビが、今度はヴィクトリア朝ロンドン、つまりは「シャーロック・ホームズと切り裂きジャックの時代」で大暴れ。ホームズよりはちょっと前だけど。

歴史的な事実である「義和団の乱」と「ヴィクトリア女王即位50周年式典」をうまくからめ、そこに「秘宝争奪」と「親のかたき討ち」を配したシナリオが(ジャッキー映画にしては)秀逸。いろいろな「仕掛け」の入った登場人物が次々と登場するのも、なかなか面白いです(時代考証? そんなの関係なし

さらに言うなら、ジャッキーとオーウェンのコンビは、よっぽど気が合うのかなんなのか、じつに楽しそう。そうした「気分」が画面からにじみ出ている感じで、見ているほうも楽しくなる、そんな娯楽映画としての理想的な形が示されているような気がします。

という具合に楽しめたので、あまり文句はつけたくないですが、ちょっとした問題をあげておきましょう。

それはこの映画のジャッキー・チェンが「カッコよくない」こと。

もちろん異邦人キャラなので、いろいろとドジを踏んだりするのは想定内。ですが、どうもアクションでも後手に回っている印象が強いのです。とくにラスト近くになって対決する二人の悪役に、いずれも格闘戦で押されっぱなし。けっきょくスッキリ勝てていないせいで、そう見えるのでしょうか。

アクション命のはずのジャッキーがこれではいかんと思うのですよ。

とはいえ、相手を考えれば致し方ない面もあります。

義和団を動かし、皇帝の座を狙う大悪党ウー・チョウを演じたのは、香港から飛来したドニー・イェン(甄子丹) なにしろ「ブルース・リーの再来」と呼ばれるカンフーアクションの実力派で、ハリウッド映画でのこれまでの相手とは「格」の違う実力者ですから(もっとも「ブルース・リーの再来」は今までにも大量にいましたが) ジャッキーにとっては、ベニー・ユキーデ以来の強敵だったかも。

ジャッキー・チェン対ドニー・イェンならば、香港映画好きにとっては、「因縁の対決」であり、東京ドーム級の「夢の対決」……

……ではありましたが、ジャッキーのキャラが前述したようにあまり「カッコよくない」せいか、この初対決はいささか喰い足りない印象でした。ジャッキーがアクション監督までつとめているのだから、もうちょっとなんとかならんかったのか。もったいない。

この対決、ぜひとも場をあらためて、再戦していただきたい。その際には、もっと強烈なカンフーアクションを堪能したいですね。

繰り返しになりますが、「シャンハイ・ナイト」は気楽に楽しめる上出来の娯楽アクション。いまあげた点は、あくまでマニアックな感想ですから、ご承知おきを。

しかし、このシリーズがこれで打ち止めになっているのは、なんとも惜しい。すでに10年以上が経過していますが、ぜひともシリーズ続編を期待したいところであります。

ところで、ドニー・イェンが香港で人気ブレイクしたのは、テレビドラマの「精武門」(1994年~95年) この作品で主人公を演じて一気に人気者になりました。

この「精武門」と、ほぼ同時期に劇場用映画と製作され、「少林寺」や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」のジェット・リー(李連杰)が、主役を演じた1994年の「フィスト・オブ・レジェンド/怒りの鉄拳(精武英雄)」とは、じつは同じお話し。

両作とも、ある作品のリメイクです。タイトルを見れば、わかるヒトにはわかります。

はい、あのブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳(精武門)」(1971年)が、その作品です。日本では「燃えよドラゴン」「ドラゴン危機一髪」に続いて公開され、日本人が悪役であるにもかかわらず、大ヒットしました(このへんのことはそのうちに稿を改めて書きましょう)。

で、この「ドラゴン怒りの鉄拳」の監督・脚本を担当したのが、本欄で何度も登場しているロー・ウェイ。ジャッキーの、ある意味恩人で師匠で、でもいろいろあったおかたです。

その彼が、「ドラゴン怒りの鉄拳」の正式な続編として製作したのが、1976年の「レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳(新精武門)」という映画です。これもいろいろあったようですが。

そして、その作品の主役に抜擢されたのが、誰あろう、若き日のジャッキー・チェンだったのです。この作品がジャッキーの出世作になりました。

ね、ジャッキー対ドニー・イェンが、因縁の対決だったことは、これでわかりましたね(笑)

その「レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳」も、この後、このシリーズに登場の予定です。乞うご期待(いやまあ期待されても困るんだが……)

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