春日山部屋問題、終結
2月20日、大相撲の元・春日山親方(以下元・親方)の高浜竜郎氏が、先代・春日山親方に当たる岩永祥紀氏(以下先代)に年寄名跡証書の引き渡しを求めた訴訟が、東京高裁で双方が請求を取り下げて和解した。
訴訟が解決したのは、元・親方が相撲協会を退職したことで、先代から年寄名跡証書を受け取る必要がなくなったため、訴訟そのものに意味がなくなったせいだろう。
結果として、元・親方は相撲協会の職を失い、先代は名跡の対価(数億円ともいわれる)を受け取れず、だれも得をしないことになった。不毛だ。
すでに春日山部屋は消滅したが、その後の調整で、一門に属していた中川親方が、先代の所有していた川崎市内の建物(昨年まで春日山部屋があった)に部屋を復興し、新たに「中川部屋」を興し、元・春日山部屋に所属し、去る九州場所からは一門の田子の浦部屋に移籍していた力士たちは、この中川部屋に移籍している。
これで一連の春日山部屋騒動は終止符を打ったことになる。
まあ、当事者同士にはいろいろ言い分もあるだろうし、表沙汰にはできないこともあるんだろうから、これ以上は追及しないほうがいいだろう。
相撲部屋の跡目争いは過去にいくらでもあった。私の記憶に残っているのは、名門である出羽一門から破門される形で独立した九重部屋騒動と、ミスタープロレス・天龍源一郎を生む遠因となった押尾川騒動【こちら参照】がある。
それらにくらべると、今回の春日山騒動は、在籍している関取がいなかったこともあって、あまり報道されなかったきらいがある。
ただこの一連の騒動は、基本的にこうした問題は当事者間の争いだとしていた相撲協会が、かなり意図的に介入した点で、過去の騒動とは際立った違いを感じる。専門誌も含めた相撲関連のマスコミは、この一件をきっちり総括する報道を心掛けてもらいたい(無理だろうけど)
そして、これも過去の騒動と大きく違うのは、力士が犠牲になったことだ。それも多数の。
けっきょく、騒動前には20名以上いた所属力士は、部屋存続のゴタゴタの中で次々と引退し(昔なら廃業といわれたケース)、部屋名を改めた中川部屋所属力士は9人だけになってしまった。
引退した力士たちは、すでに髷を落とし、次なる道を歩み始めているとも聞く。彼らの今後の健闘を祈るとともに、残った9力士にもエールを送っておきたい。
では、その9力士をここに記しておこう(番付は今年初場所時点)
西幕下四十六枚目 高春日(たかかすが)
西三段目二十二枚目 義春日(よしかすが)
東三段目五十二枚目 春日国(かすがくに)
東三段目八十五枚目 春日龍(かすがりゅう)
西三段目八十六枚目 春光(はるひかり)
東三段目八十七枚目 春日岫(かすがみね)
東三段目九十八枚目 大国里(おおくにさと)
西序二段四十八枚目 大国旭(おおくにあさひ)
西序二段七十二枚目 春日浪(かすがなみ)
モンゴル出身で、有望株の高春日が部屋頭格になるだろう。ここはぜひとも騒動をバネにして、関取の座をつかんでもらいたいものだ。
もうひとつ、ぜひとも新たなスタートを切る中川部屋の関係者にお願いしたいのは、せっかく従来の春日山部屋が築いてきた地元・川崎市とのつながりを、しっかりと継続してもらいたいことだ。
ことに、同じ川崎に本拠を置く、Jリーグ・川崎フロンターレとの友好関係は、維持してもらいたいところ。
いろいろあるだろうが、これからもよろしくお願いしたい。
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〔追記〕 去る2017年3月9日、先代・春日山親方の岩永祥紀氏が亡くなった。まだ51歳だった。ご冥福をお祈りします。
