相撲協会 真・理事選挙

初場所の興奮も冷めやらぬなか、日本相撲協会の理事改選が行なわれる。

現在は、昨年九州場所中に北の湖理事長が急逝したのをうけて、八角親方(元・北勝海)が暫定的に理事長を務めているわけだが、もともと北の湖の後継理事長は八角という路線だったともいう。が、予想外の理事長急逝もあって、やや波乱含みとかいう噂だ。どうなるだろうか。定数10人に、今回は11人の立候補だとか。

なにしろ公益財団法人の理事選びなので、公正さが必要なのだ。だから、理事選挙は、相撲協会所属の年寄(親方)全員の投票で、公明正大に行なわれる。

ということになっているのだが、毎度毎度のこと、さまざまな陰謀謀略が繰り広げられる魑魅魍魎の世界になることが恒例だ。

というのも、ここに「一門」という派閥が厳として存在するからだ。

まあ、協会理事には権力という旨味があるので、その権益をめぐっての離合集散があるのは致し方ない。相撲取りといえども人間だからね。

ここで年寄というのは、相撲協会に所属するための権利である年寄名跡(年寄株などと呼ぶ)を所有している元力士のこと。俗に「ナントカ親方」と呼ばれるやつだ。名跡は数が決まっていて、現在は106株あるが、襲名者がいない空き名跡があるので、年寄数は99名だ。

この99名の親方は、それぞれ「一門」と呼ぶ派閥に属している。本来は、所属部屋、自分の師匠によって半自動的に決まるもののはずだが、そこはそれ、いろいろと「大人の事情」もあるようだ。

現在の「一門」は以下の6グループ。

伊勢ヶ濱一門/貴乃花一門/高砂一門/時津風一門/出羽海一門/二所ノ関一門

まあだいたい昔からある大部屋を中心とした派閥なのだが、数年前に当時は二所ノ関一門に属していた、元大横綱の貴乃花親方(一代年寄)が反旗を翻して一門を創設し、各グループから縦断的に賛同者を集めて、新一門を結成したのは記憶に新しい。

過去には「立浪一門」とか「花篭一門」とかもあったが、色々あって現在はこうなっている。

ではその勢力図(所属年寄数)はというと、こうなる。

伊勢ヶ濱 11名/貴乃花 8名/高砂 12名/時津風 17名/出羽海 31名/二所ノ関 20名

かつて「番付の片側を独占した」といわれた大部屋・出羽海部屋を中心とした出羽一門が最大勢力。北の湖理事長もここに属していた。過去12代の理事長のうち7人を輩出している、角界の最大勢力なのはこれでわかるだろう。

ちなみに八角親方は高砂一門の所属。現在の理事9名の内わけはこうだ。

伊勢ヶ濱 2名/貴乃花 1名/高砂 1名/時津風 1名/出羽海 2名/二所ノ関 2名 (欠員 1)

公明正大のようで、意外にそうでもないのは、この「一門」の縛りにある。各「一門」から出す候補者は「一門会」で決めるのだが、ここがまったく密室での暗闘になるからだ。その戦いが尾を引いて、いざ本番の選挙で裏切り者が出たりもするそうだし、このへん興味深いものがあるね。

なんかまとめているうちに、どっかで見たような感覚が……そう、自由民主党の派閥抗争に似ているんだな(笑)

ところで、私は昔から疑問に思っているのだが、この「年寄一人一票」って制度、ホントにそれでいいのか?

というのも、昔から相撲を志す若者への教訓として「土俵には富も宝も埋まっているんだぞ」みたいなのがある。頑張って稽古して、勝って、出世すれば、金も、名誉も、キレイな嫁さんも手に入るってこと。実際に、力士の報酬(給料)は勝ち星の数で決まってゆくんだからね。

じゃあ、その制度、引退後にも継続すればいいじゃないか。そもそも優勝が数十回の大横綱も、最高位が十両どまりの力士も、引退後は公平に一人一票って、角界の掟に反するよな。

そこで例によって変な制度を考えた。名づけて「現役成績による年寄格付け制度」だ。

理屈は簡単だ。現役時代に多く功績をのこした力士には、引退後の権力も与えるぞという、ある意味ではまことに公明正大な制度だ。

「現役時代の功績」の測り方はいろいろ考えられるが、ここではシンプルに「優勝回数」と「三賞受賞回数」をポイント化してみた。こればっかりは、活躍しないと手に入らないからね。

三賞を1回1ポイント、優勝は1回5ポイントとする(優勝賞金は三賞賞金の5倍だからね) これを集計すると、親方衆の現役時代の活躍度による序列が出来るってわけだ。

で、年寄全員のポイントを算出してみたんだが、あまりに巨大な表になったので掲載は見送り(すまん) そしてそのポイント上位10人を「真・理事」に任命してみた。その結果が、下の表だ。

ま、当たり前といえば当たり前の結果だが、年功序列一切なしで割り振ると、こうなるわけだ。で、理事長は元・千代の富士の九重親方に決定だ。

どうだい、この制度。もちろん、相撲の力と経営力はまったく別のモノなので、これを実現すれば、相撲協会大混乱間違いなしだがな(笑)

ついでに、このポイントを集計した一門別の「真・勢力図」も掲載しておこう。親方衆、今後の参考にしてくれたまえ(笑)

この欄と前後して、ホンモノの理事選挙の結果は出ているはず。まあ、楽しみにしよう。

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〔追記 2016年1月30日〕

選挙の結果が出ました。上では「理事選挙」と書きましたが、正式には「理事候補選挙」 当選者は3月場所後に開かれる評議員会で承認されるので、「候補」なんですね。そうはいってもここでひっくり返ることはないようなのですが。

選挙結果は下のとおり。理事選は直前で九重親方が断念し、定数10人に11人が立候補しての選挙。同時に行なわれた副理事には定数3人に4人が立候補しました。表でグレイになっているのが残念候補です。

これで理事の勢力分布は出羽ノ海一門が一人増やして4人に。割を食ったのは伊勢ケ浜一門で、現職の高島親方が落選の憂き目にあいました。ただ、新理事となった出羽ノ海一門の山響親方には貴乃花一門から票が回ったとかいう報道もあり、3月場所の正式承認後に行なわれる、理事の互選による理事長選挙での波乱もあるかも、ですね。

〔追記 2016年3月29日〕

昨日行なわれた理事会で、新理事長は八角親方に決まりました。予想通り対抗馬として名乗りを上げた貴乃花親方との一騎打ちとなりましたが、立候補者を除いた8人の投票の結果は、6対2で八角親方の勝利。新理事長の任期は2年です。人気回復の波に乗って、いろいろな改善の実行を期待したいと思います。

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