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ジャッキー・チェンと勝負する・追撃戦(9)

2007年の「ラッシュアワー3」 第1作と第2作のあいだが3年だったのに対し、2001年の第2作から6年の間隔をおいて、お久しぶりの第3作。

なので、多少はタッチが変わったり、なにか新趣向を盛り込むとかしたくなるところだが、ぐっとこらえて、全2作とほぼシームレスにつながった映画にしたのは、成功といえよう。監督さんも同じだからね。

そのかわり、前2作を見ていないと、ジャッキー演じる香港警察のリー警部とクリス・タッカー演じるロス市警のカーター刑事の関係はわかりにくいかもしれない。とくに最初はカーターが交通警官で出てくるからね。物語の芯でもある中国大使とリー警部の関係もやはり説明なしなので、このへんの割り切りは大したもんだ。それだけ製作側に自信と度胸があったってことか。

第1作はロスが舞台で、タッカーにはホーム、ジャッキーにとってはアウェイ、第2作ではこれが入れ替わって香港が舞台になりジャッキーのホーム戦だった。さて第3戦はというと、予想どおりに両者にとっての中立地帯での展開で、主な舞台はパリ

二人が喧嘩したり、うまくやったりしながら、アクションフルな捜査を管轄権無視でぶっ放すのは相変わらず。

今回のストーリーの背景となるのが、中国の伝説的犯罪組織であるトライアッド(三合会) 一説には清代から存続している組織だと言われ、世界各地の華僑をバックに国際的な勢力を持ちながら、その実態はほぼ不明という存在。

チャイニーズマフィアの話はジャッキー自身も何回かあつかっているし、もちろん香港の犯罪映画では「黒社会」抜きでのストーリーはまず作れない。それはフィクションの中だけのことではなく、ジャッキー自身もそうした闇勢力とまったく無縁に生きてきたわけでないことは、自伝などを見るまでもなく明らかな事実だ。

だが国際犯罪組織のトライアッドは、こうした香港の黒社会とは別物(ほんとか嘘かは知らんが) 香港のギャング組織とは、スケールも神秘性もくらべものにならないという。このトライアッドがテーマになるのは、ジャッキー映画では初めてかもしれない。

今回の設定では、そのトライアッドの撲滅を図る国際法廷(てのがあることになってるのよ)が、トライアッドのリーダーの秘密を入手しようとし、その捜査にリー警部とカーター刑事がからんでいってしまうことになる。

んー、中国の国際的秘密犯罪組織の正体不明のリーダーがって、どっかで最近見たぞ……?

ああ、そうか、「未発売映画劇場」で紹介した「ドラゴン捜査網」か。あれも国際的犯罪組織のボスの正体が「カギ」だったな。しかも「複数の幹部が存在し、そのトップが互選で選ばれる」みたいな設定もそっくりだった。だから今回のストーリーのキモにもなっている、ある幹部の正体をめぐるドンデン返しは、私にとって、はじつはそう意外でもなかった。このへんは仕方がないが。

ことほどさように、ストーリーの設定自体は、さほど目新しくない。その点には期待しないように(期待する人もいなかっただろうが) まあそこを見せるための映画じゃないんだからね。

で、アクション。CGを使ってはいるが、やはりジャッキーとクリス・カッターが体を張るアクションは、見応えがある。第1作ではどこかぎこちなさがあったカッターのアクションも、思い切りが良くなっている気がした。

総じて、前2作を気に入ったファン向けには、文句の言いようがない出来栄えといえよう。

真田広之工藤夕貴が、トライアッド側の殺し屋として参戦しているのも、一つの見せ場か。工藤夕貴の女殺し屋は、予想以上のインパクトあったし。

真田広之はアクション俳優としてはジャッキーとほぼ同年代にあたる。なので、今回は期するものもあったのだろう、キレのある体術を駆使してのジャッキーとの対決は、ジャッキー映画史上の名勝負のひとつになっている。

ただ不満があるとすれば(あるんだけど)クライマックスのアクション。エッフェル塔の上でのふたりの決戦だ。

アクションそれ自体は素晴らしい切れ味なんだが、場所がエッフェル塔なのが問題。

いうまでもなく、エッフェル塔でのあんな撮影は不可能。なのでCG合成が使用されている。合成の出来栄え自体は悪くないどころか完璧なのだが、でもエッフェル塔で撮影してるわけないだろと思った瞬間から、アクションのリアリティが失われてしまうのだ。

これは映画の「宿命」ではあるが、あえて舞台をエッフェル塔に設定する必要はなかったんじゃないかなぁ。このふたりなら、地べたの上でも充分な迫力が出たと思うよ。この点は惜しかった気がする。

それにしても、ジャッキーとクリス・カッターは、ウマが合うのか。じつはカッターは「ラッシュアワー2」と「3」のあいだの6年間は、ほかの映画には出演していない。にもかかわらず、この作品に出演したということは、本人もあんがい気に入っているのかも。

「ラッシュアワー」は、その後2016年にテレビシリーズ化され(キャストは別人)、ジャッキーによれば、どうやら第4作が企画進行中の模様だ。

いつになるかわからないが、またこのコンビに会いたいものだね。

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