史上最強の大横綱〔その3〕

前回までで優勝20回を上回る昭和~平成の6人の大横綱、大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花、朝青龍、白鵬を比較してきたが、絶対に欠かすことのできない大横綱がもう一人いる。

「角聖」双葉山だ。

まず、前回までの大横綱たちと比較する意味で、数字を挙げておこうか。

双葉山(優勝12回)

 初優勝 1936年5月場所   最終優勝 1943年5月場所

優勝回数だけ見ると、前述の大横綱たちに大きく劣る。優勝回数だけなら輪島(14回)を下回り、武蔵丸と同点だ。

だが双葉山のすごみはこっちだ。

 優勝期間   15場所    優勝占有率  80.0%

双葉山の優勝期間は、昭和でいうと11年から18年までの約7年間。そして当時は年間2場所の時代なのだ。場所数は現在の3分の1。単純計算で考えれば双葉山の優勝回数は、もしも現在と同じ年間6場所制だったら、単純計算で、じつに36回に相当する。そのうえ力士生活の晩年は戦時中でもあった。もし仮に、あくまで仮にだが、双葉山が現在の年間6場所制下で、他の大横綱なみに10年間勤め上げていて、その間80%の優勝占有率をキープしていたとしたら……優勝回数は実に48回に上ったはずである。

もうひとつ双葉山の凄みを上げるとすれば、初優勝からのスタートダッシュ時期に、一気に5連覇を達成していることだろう。年2場所制下での5連覇なのだ。計算上では現在ならば15連覇に相当する、途方もない数字だ。実際にこのあいだ約3年間、一度も優勝を譲っていない。おまけにこれすべて全勝優勝。そう、あの69連勝だ。

69連勝だって、今の制度下だとして単純に3倍してみると、じつに207連勝にもなる。3年間まったく無敗。ちょっと想像もできない数字だが、これが昭和の初め、角界どころか日本中を席捲した双葉山定次という大横綱なのである。

今さらながら、双葉山の凄さを再認識したところで、最後にもう一度、現役の白鵬に立ち戻り、これからの可能性を考えてみよう。

白鵬は2015年1月場所までで、優勝期間53場所。過去の例から見て、少なくとももう10場所以上は勤められるだろう。通算60場所で60%以上の占有率をキープできれば優勝回数は36回、年齢的なことを考えると優勝40回は、そう無理な数字でないのかもしれない。

だが、すんなりとそうなってしまっては、面白くない。

大鵬に北の富士、玉の海が、北の湖に千代の富士が迫ったように、大横綱の晩年を脅かす強敵が現われてこそ、次代の大相撲が盛り上がるというものだ。そのことは大相撲の歴史が物語っている。一方で、そうはならずとも晩年に充分数字を伸ばせなかった例もある。

縁起でもないことを言うようだが、双葉山は戦争で、貴乃花は怪我で、朝青龍は自らの不祥事で晩年への長期計算を狂わせた。

できれば、白鵬はそんなことなく勤め上げ、そのうえで白鵬を脅かす次代の大横綱が出現することを期待しよう。  

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