007記念週間 幻のボンドたち
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正統007映画シリーズが開始される当初、ボンド役に原作者が推していたのがデビッド・ニーヴンだったことは前に書いた。当時すでに大物スターだったニーヴンの出演はハナから無理だったんだろうが、じつはこのときもう一人、幻になりかかけた俳優がいる。
何を隠そう、ロジャー・ムーアが、その幻のボンド候補だ。
考えてみたら、ロジャー・ムーアって、ショーン・コネリーよりも年上なんだよね。コネリーの後継者としてボンドに扮したせいで、なんとなく逆のように感じることが多いが。
原作者イアン・フレミングはニーヴンとともにロジャー・ムーアも候補として推薦していたそうだが、あいにく彼は当時テレビの「セイント 天国野郎」で人気が出ており、スケジュールが取れなかったとか。
その後、めでたく3代目ボンドの座に就くわけだが、じつはその際もテレビの「ダンディ2 華麗な冒険」にレギュラー出演していてスケジュール的にはけっこう危なかったとか。トニー・カーチスとのコンビ探偵ものの「ダンディ2」は私も好きだったが、残念なことにたったの24話で打ち切りとなったため、めでたくロジャー・ムーアのボンド役就任が決まったそうだ。幻のボンドにならなくて良かったね。
かように、歴代ボンド交代の際には、多くの俳優が候補として名があがり、あるいはその前段階で浮いたり消えたりしている。近年になってもなお過去のスクリーンテストのフィルムや写真が漏出するたびに話題になるのが、007人気の根強さを語っている。
昔から有名な「幻のボンド」に、リチャード・バートンがいる。原作の『サンダーボール作戦』には共作者がいたのに、それを無視してイアン・フレミングが勝手に発表してしまい、裁判沙汰になる。結果はフレミングの負けで、小説の権利は残ったものの、映像化の権利は共作者ケビン・マクローリーの手に渡ることになった。さっそく映画化に着手したマクローリーが用意したのが、リチャード・バートン=ジェイムズ・ボンドだったのだ。
これはこれで見てみたかった気がするが、ご存知の通り「サンダーボール作戦」は実際にはショーン・コネリー主演の正統シリーズの第4作として製作され、マクローリーは同作の共同制作者におさまっている。何らかの手打ちが成されたんだろう。のちにこれがリメイクされたのが「ネバーセイ・ネバーアゲイン」で、その後もまた再々映画化の話が浮かんだり消えたりしている。
歴代ボンドがすべてイギリスっぽい俳優であることは前に書いたが、アメリカ人が有力候補になったこともある。いや実際には、いったん決まってもいた。「女王陛下の007」で主演したジョージ・レイゼンビーが降板した後、イオン・プロは「ダイヤモンドは永遠に」の主演として、アメリカ人俳優のジョン・ギャビンを3代目ジェイムズ・ボンドに決定した。ヒッチコックの名作「サイコ」にジャネット・リーの愛人役で出ていた俳優だが、結局コネリー復帰が決まってお流れに。なんとも気の毒なことになったギャビンくんは、その後も地味な俳優活動をつづけたが、その本領は別にあったらしく、のちに映画俳優組合の代表に就任した。その縁でか、1981年にはレーガン政権下の駐メキシコのアメリカ大使にまでなったのだから、これはこれで良かったのかもしれない。
ロジャー・ムーア降板後の「リビング・デイライツ」でデビューした4代目ボンドには、「ジュラシック・パーク」などのサム・ニールが有力候補だったという。北アイルランド出身でニュージーランド国籍のニールなら女王陛下の臣民007にはぴったりだったのだが、結局はティモシー・ダルトンに決まったのはご存じのとおり。
そのほかにも、「死ぬのは奴らだ」でのボンド選びの際にはポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、バート・レイノルズなどアメリカのスター俳優を起用する案もあったという。ニューマンやレッドフォードはともかく、バート・レイノルズは「なし」だろうと思うが(笑)
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