オレの傍役グラフィティ「ロバート・ウィルク」
相変わらず、わが家の書庫から『傍役グラフィティ』が発見されないので、今回のこの人が掲載されていたがどうかアヤフヤなんですが、まぁいいか。
今回の主役はロバート・ウィルク(Robert Wilke) ミドルネームの頭文字が入ったロバート・J・ウィルクとか、ボブ・ウィルクとかいった名前でクレジットされることもあります。
未発売映画劇場で見た「Gun the Man Down(奴らを荒野に撃て)」で悪役を演じていたのでちょこっと触れたように、私がこのウィルク氏を初めて見たのは「荒野の七人」です。
七人のガンマンのうちで私のいちばんのお気に入りは、ナイフ投げのブリット(ジェームズ・コバーン) その彼の初登場シーンに出ているのがこの男であります。

なんのトラブルか知らないが、ブリットとモメたあげくに決闘を挑むオッサンを演じたのがウィルク。あっさりやられてしまうのが、逆にブリットの凄さを印象づけるのですが、こっちのオッサンもけっこう印象を残していました。私の耳には、いまだに吹き替えのセリフ「立て! 野郎、立ちやがれ!」「こうまでされても逃げる気か、腰抜け」がクッキリと残っております(まぁ何度も何度も観てるからねえ)
ご覧のとおり、およそカタギには見えない面構えですが、その面を活かして、長く悪役、傍役で鳴らしてきた御仁です。
もうひとつ、一般的にわかりやすいのは「真昼の決闘(ハイ・ヌーン)」でしょう。
ゲーリー・クーパーのケイン保安官にお礼参りをしてくる4人の悪党のうちの1人なんだから、けっこう重要な役どころ。なのにあんまり印象が残らないのです。
4人のうち、ボス格でムショ帰りのフランク・ミラー(イアン・マクドナルド)は終盤まで登場せず。鉄道の駅でひたすらフランクの到着を待つ3人組のうち、フランクの弟のベン・ミラー(シェブ・ウーリー)は映画の前半で町の酒場に現われたりしてけっこう目立ちます。で、チーム構成的に「子分」的になる残りの二人のうちの一人がウィルクなのですが、運の悪いことにもう一人が、あのリー・ヴァン・クリーフなのよ。
西部劇などの悪役として鳴らし、のちにマカロニ・ウェスタンの大物になったリー・ヴァン・クリーフがいるのでは、その後の映画ファンの印象に残りにくかったのもわかりますね。

ほら、こうして真ん中に写っていても、やっぱりクリーフ御大に負けてる感じがするんだよな。
もっとも、この3人のうちでは、クライマックスの決戦でも最後までケイン保安官相手に善戦するし、扱いは小さくはないのですが、その後の二人のキャリアを知っている身としては、どうしても「リー・ヴァン・クリーフじゃない方」になっちゃうよな。
実際にはこの映画でいい評価を得たのでしょう、前述した「Gun the Man Down」での悪役抜擢は、その4年後の1956年。ここらが出世のチャンスだったのでは。
ところが、イタリアに渡って主演級にのしあがったクリーフ御大とは対照的に、ウィルク氏のほうは大きなチャンスをつかめず、その後は劇場映画の傍役とテレビ出演に終始しました。
ただテレビのほうではけっこうコンスタントにいろいろなシリーズに出演していますから、けっして売れない役者じゃなかったようです。
フィルモグラフィをざっと見ただけでも、そこには「ローンレンジャー」「テキサス平原児」「ロイ・ロジャース」「ライフルマン」「拳銃無宿」「連邦保安官」「シャイアン」「マーベリック」「ローハイド」「西部のパラディン」「ララミー牧場」「幌馬車隊」「ガンスモーク」「シマロン」「0088/ワイルド・ウェスト」「西部の王者ダニエル・ブーン」「ボナンザ」など1950年代から60年代は、テレビの人気ウェスタンに続々出演。もちろんウェスタンだけでなく「ピーターガン」「サンセット77」「ペリー・メイスン」「逃亡者」などにも。
こうして見るとなかなかの売れっ子ですが、ただことごとくがゲスト出演。早い話がレギュラーの座をつかむに至らなかったようですね。
その間にももちろん、たとえば「海底二万哩」とか「スパルタカス」とかいった、ウェスタンじゃない映画にも出ています。じつは、前回見たばかりの「トニー・ローム/殺しの追跡」にも出ていたんですよ。

立っている、右側のオヤジがウィルク氏
探偵トニー・ローム(フランク・シナトラ)の警察時代の相棒で、不祥事で退職して今はしがない安ホテルの警備員という役どころ。事件のスターターになる重要な役ですが、すぐ死んじゃうんですよね。いかにもな役だなぁ。
1914年生まれで、1930年代にスタントマンとして映画界入りし、デビューは1936年の「桑港(サンフランシスコ)」というから相当のベテラン。1978年の「天国の日々」や1979年のTV「ダラス」、1981年の「パラダイス・アーミー」あたりが最後の出演作らしい。1989年に74歳で死去しています。
古い映画を見ていれば、そのうち必ず出会うので、この面を覚えておいて損はない……べつに得もなさそうですが。


