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ジャッキー・チェンと勝負する・追撃戦(12)

2014年の「ドラゴン・ブレイド」(DRAGON BLADE/天降雄獅) 日本公開は2016年の2月。歴史スペクタクル大作だ。

紀元前50年ごろ、前漢時代。シルクロードの辺境の要衝で、辺境警備隊の隊長をつとめるジャッキーの前に、はるか西方から現われたのは、ローマ帝国の兵士たちをひきいた将軍ルシウス。故郷での政争を逃れてきた彼らと、ジャッキーたちの間には友情が生まれる。だが、やがてルシウスたちを抹殺し、シルクロードの支配を目指す政敵のティベリウスが、大軍を率いて攻め込んでくる。

ジャッキー映画で歴史ものって、ちょっと珍しい……と思ったが、よく考えたらカンフー映画って、ほとんどが時代劇、つまり歴史ものだよな。初期のアーリー・ジャッキー・チェン映画では、むしろ歴史もののほうが多かったわけだ。

とはいえ、さすがにこの映画、むかしのカンフー映画とはひと味ちがう。

辺境の砂漠で激突する大軍、壮絶な決闘、巨大な要塞のセット等々、いやいや堂々の大作映画だ。ハリウッド映画にも負けていないと思うよ。

それでも、ジャッキー映画らしいなと思う。

歴史スペクタクルにして、戦争映画男の友情あり、謀略サスペンスあり、もちろんアクションも。

要するに、「男の子映画」のあらゆる要素をぶちこんだ大作なのだ。ハリウッドあたりのナマヌルイ大作映画とはわけが違う。

もちろんこの時代だから、CGもたくさん使っているのだが、さすがはジャッキー、その中心に置かれるのは、肉体もワイヤーワークも駆使したライブアクションであり、展開されるのはギミックを多用した本格的なカンフーファイトだ。それでこそ、ジャッキー映画だ。

エンドクレジットには、例によってNG集が配されているのだが、負傷者続出らしいその壮絶撮影風景はすさまじい。ジャッキー自身もケガが絶えなかったようだが、そのへんもいかにもジャッキーらしい。

昔のNG集と違うのは、そうした壮絶ライブアクションの背景に、しばしばCG合成用のグリーンスクリーンが張られていることだ。いかにも21世紀っぽい撮影風景だ。

ジョン・キューザック、エイドリアン・ブロディというハリウッド・スターを招聘したあたりも、ハリウッドで地位を築いた「21世紀のジャッキー・チェン」らしい。

なんだかんだいっても、ジャッキー・チェンはちゃんと21世紀に生きている

そんな安心感を抱ける大作でした。

ちなみに、いかにも奇想天外に見えるこのストーリーだが、意外にもこの壮大なドラマは歴史的事実をもとに脚色されている。

物語の主要な舞台となる中国西北の辺境の要衝である「雁門関」は実在の町であり、じつはいまでもあったりする。この地が北方諸民族の中国への侵入を防ぐための拠点であったのは事実だが、映画の中でほど民族の共存が出来ていたわけではなく、長い歴史の上では多くの血が流された場所でもある。

この地にローマ帝国の軍勢が現われたのも、歴史的事実だとする説がちゃんとある。紀元前53年に、現在のシリア北方で起きたカルラエの戦いで、パルティア軍との戦いに敗戦したローマ軍の残党が東へ敗走して中国辺境に達したらしいのだ。現在もその地には西洋人ぽい風貌の民族がいるらしい。

ま、このへんは諸説あるようだが、こうした興味深い史実を持ち出してきたあたり、ジャッキー映画にしては異色なのかな。

  ジャッキー・チェンと勝負する 目次

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