寝飯酒
寝飯酒【読み方:ねはんざけ】※
飲んだり食べたりする時間以外は、ただひたすら寝て過ごす事。またはその様態。様相。有様。
誇らしげにそびえ立つ三俣山を眼前に見据え、あたり一面に広がるススキの草原にマットを敷き、目覚めてから日暮れ間際までただひたすらゴロ寝する。
心地よい秋風が草原を優しく撫でる音と、たまに聴こえてくる鹿の甲高い鳴き声。
JBLのポータブルスピーカーから流れるヴィヴァルディの四季と自然の音とのセッションに耳を傾けながら、真っ青な空に流れる雲を眺め「あ、今のやつはイカにみえる」とか、どうでもいい独り言を呟いたりする。
時々、雲の切れ間から光が差し込み、にわかに熱を感じたかと思うと、すぐに雲が日差しを遮り、少し薄暗くなって冷たい風が身体を冷やす。
和さんが「うん、これは自動サウナだな」と呟く。
たしかにサウナのあとに水風呂に移動せずとも、そこにただ寝ているだけで、暑い、冷たい、暑いが繰り返されるので、なんとなく整ったような気がしてきた。
貴重な休日を自宅でただひたすらにゴロ寝して過ごし、そのまま日が暮れたりすると、なにかとてももったいない1日を過ごしてしまったかのような罪悪感に襲われるけど、やっていることはそんな日とぼぼ同じにもかかわらず、この場所では、なんと有意義で贅沢な1日なんだろうと思う。
そんなことをぼんやり考えていると、また和さんが仙人のごとく呟く。
「何もしないと言うことが出来る人間はなかなか居ないよ。普通、そこで何か出来ると思うと、ついその何かをやりたくなったり、やらなければいけないような気がしたりするものだからね。それにくらべて僕らは凄いよ。だって今日は朝からここに居るあいだに3メートルくらいしか移動していないんだから」
※注 寝飯酒という言葉はありません。
