見出し画像

暗く長い夜に灯される光―― シャベ・ヤルダとハヌカと東方の三博士と


アドヴェントの季節になりますと、
夜の長さが、心の奥にまで静かに満ちてくるように感じられます。


今日は、ペルシャ文化圏の人々にとって特別な夜、シャベ・ヤルダ です。
一年でいちばん夜が長い日。

闇がもっとも深まるその夜を、人びとは集い、食卓を囲み、語り合いながら過ごします。この日には、お祝いの電話が、世界中に散らばるペルシャの人々のあいだで、ひっきりなしに鳴り続けます。



シャベ・ヤルダ (Shabe Yalda,شب یلدا )。
ペルシャの冬至の祝祭で、「夜」を意味します。

ゾロアスター教の時代から続く古い伝統で、
一年で最も長い夜を家族や友人と共に過ごし、
夜通し起きて過ごす習慣があります。

物語の語りや音楽、詩の朗読、そして豊かな食卓が、
暗い夜に温かさと喜びをもたらします。



「夜が長いこと」を祝う、という発想は、
最初、少し不思議でした。
けれど、その意味を知るほどに、
胸の奥があたたかくなっていきます。

そうです、この夜は、闇に沈むための夜ではなく、
ここから光が戻ってくることを信じて待つ夜なのです。


ザクロやナッツを囲み、詩を読み、家族と同じ時間を静かに過ごすこの習慣は、言葉にしなくても「あなたはひとりではない」という思いを、深く伝えてくれるように感じられます。こうした祝祭のひとときを、私は特に愛おしく思います。




@mr.coriander

Tonight, we celebrate the longest night of the year, ‘Shabe Yalda,’ which means ‘rebirth’ (of the sun). We celebrate the triumph of light over darkness. It is an ancient festive ceremony that has been celebrated mostly in Iran, Afghanistan, Tajikistan, Kurdistan, Azerbaijan and many more countries for centuries. Traditionally, Yalda Night is celebrated with family and friends, sharing drinks and food, such as (dried) fruits and nuts. Pomegranate and watermelon are iconic for this celebration. The ancient myth is that eating watermelon on this night creates immunity to the cold winter ahead. During this night people traditionally read poems from the divan Hafiz and interpret these to predict the future and understand the present. There is a saying in Farsi that goes something like this: ‘I wish you a long and happy life like Shabe Yalda, sweet as watermelon and fruitful as pomegranates’ Happy Yalda Night. #shabeyalda #yaldanight #havis #afghanistan #iran #azerbaijan #tajikistan #yalda #pomegranates

♬ Shab Yalda - Amir Jan Saboori

↑ シャベ・ヤルダと「ザクロ&スイカ」のジューシーな関係🍉
シャベ・ヤルダの夜に欠かせない果物が、赤く実ったザクロと甘いスイカです。ザクロは生命力や豊かさ、祝福の象徴とされ、光が再び増していくことを祝います。スイカは、冬の寒さに負けない元気を呼ぶ果物として食べられます。深い闇の中で輝く赤や鮮やかな色合いは、
希望と喜びのしるしでもあります。




そして、ちょうど同じ季節に祝われる旧約の民の祭り――ハヌカの灯りも、自然と心に思い浮かびます。ハヌカは、ユダヤ神殿の奉献を記念する、喜びと光に満ちた祝祭です。神殿の油はわずか一日分しか残っていなかったにもかかわらず、その灯は八日間、静かに、絶えることなく燃え続けたと伝えられています。



ハヌカと「ドーナツ」の甘い関係😊

ハヌカにドーナツ(スフガニヤ)を食べるのは、
神殿再奉献の際に起こった「奇跡の油」の物語に由来。

油で揚げたお菓子を味わうことで、
灯が絶えず燃え続けた奇跡を祝うのだそう。

ドーナツのほかにも、ラトケス(ポテトパンケーキ)などの油料理があり、
ハヌカに欠かせない伝統だということです。
見ているだけでも、なんだか楽しくなりますね。



↑ ハッピー・ハヌカ!食卓を彩るユダヤのママ🥰
ハヌカの灯りのもと、家族みんなが笑顔になる準備中。
手作り料理を手際よく並べるママの手には、愛と喜びがいっぱいですね!



また、聖書に登場する東方の三博士のことも、思い浮かびます。彼らは、ペルシャに連なる土地から来た人々であったといわれています。


彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み、
ついに幼子がいる場所の上に止まった。 博士たちはその星を見て喜びに溢れた。

家に入ってみると、幼子が母マリアと共におられた。
彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、
黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。(マタイ2:9-11)



星を読み、時を見つめ、世界の深い闇の中で、「何かが始まろうとしている」というしるしを見守った人たちでした。長い旅路の不確かさの中でも、希望の光を信じながら、歩みを続けたのです。


シャベ・ヤルダの夜も、ハヌカの灯りも、そして星を追った東方の博士たちの歩みも――、闇の深い場所で、光を待ち、心を光に向けるという点で、やはらかく重なり合っているように感じられます。



アドヴェントを包む、聖なる闇の中で、
人びとは沈黙のうちに、東のほうを向きます。


光はまだ私たちの目には完全には見えていません。
けれど、世界の奥深くでは、その光が静かに、しかし確かに生まれ始めています。

すでに世に降りた光――イエス・キリスト――は、私たちの知らぬところで働き、命を照らし、希望を芽生えさせています。

夜は長く、闇は深く感じられます。
戦争やテロの脅威も絶えることはありません。
それでも・・・光は失われてはいません。


待つことそのものが、
すでに光に向かう歩みとなることを、
この季節は静かに教えてくれます。



どうか、長い夜を歩むすべての人の上に、
消えることのない光が、
やさしく、確かに灯されますように。

そして、闇の中にあっても、
希望を見失うことがありませんように。


アドヴェントの沈黙のうちに、
来たる光を待ち望みつつ。





いいなと思ったら応援しよう!