内外タイムス記事掲載情報⑩
よく、知人やお客さんに「人を殺した人とかを見て気持ちが持っていかれないか」と聞かれることがある。
たしかに故意に人を殺しているのだから怖い話である。
しかし、人を殺した人を目の前にしても不思議と怖くないし、気持ちを持っていかれることも意外と少ない。
それは彼らと自分の間の柵が現実味を薄め、そうさせているのかもしれないし、法曹関係者、職員、刑務官、傍聴人がたくさんいる安全圏の中で彼らを見ているからかもしれない。
自分はさすがに殺人までは犯さないだろうと想像が働かないのもあるだろう。
私がむしろ気持ちを持っていかれるのは過失運転致死傷罪である。
基本的に事故を起こした被告人に故意はなく、人が怪我を負う。
被害者に障害が残ったり、亡くなってしまえば被害者家族、遺族からは殺人鬼のような非難を浴びる。
車の運転をする以上、明日、自分が加害者の立場になるかもしれないと想像も容易であり、故意なく不注意から起こる事案が多いため、殺人鬼のように遺族に責め立てられる被告人を見ていて気持ちの拠り所がなくなってしまう。
どちらの気持ちも想像できるが故に、げんなりとした気持ちで法廷を出ることが多い。
不注意だけでないケースももちろんある。
そうなると話は別である。
今回の被告人は道交法で裁かれた男。
事件の2年ほど前に過失運転致傷、道交法の罪で執行猶予判決を下された男。
こんなくだらない事で刑務所生活を数年送ることになると男は思っていなかったのだろう。
本件は自身の罪を悔い改めていれば起こり得なかった事案と言える。
