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 日本の漫画家。1975年生まれで、一般向け・成人向けの両方を手がけており、近親相姦や女装などのテーマを好んで取り上げる。
 漫画『あきそら』絶版事件や自身のGoogleアカウントBAN問題で表現規制の被害に遭っているほか、赤松健氏の「政策マンガ」で作画担当をするなど表現の自由とかかわりの深い作家である。


『あきそら』

 2009~2011年、「チャンピオンREDいちご」(秋田書店)にて連載された、主人公ソラとその実姉であるアキとの近親相姦関係を主軸にした恋愛漫画(全6巻)。
 肉体関係が描かれているが、いわゆる成人指定はされていない。

 2011年4月14日、出版倫理協議会・出版倫理懇話会の会合が開かれた。これはいわゆる「非実在青少年」が問題となった「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の2010年改正に関するものであった。同条例は規制対象を修正し「非実在青少年」を条文から削除したうえで成立してている。
 東京都はこの会合において、規制対象候補として本作を含む6作品を挙げた。なお、本作以外に挙げられた作品は、松山せいじ『奥サマは小学生』、夏葉ヤシ『彼氏シェアリング』、オジロマコト『恋人8号』、花見沢Q太郎『花日和~花見沢Q太郎自撰集~』、雅亜公『碧の季節』である。

 これを受け『あきそら』の重版は見合わされることになった。
 糸杉氏はこのことを「死刑宣告に等しい」とまで言っている。
 またXにおいて、この判断は「自分ではない」とし、「秋田書店の判断であるかは言えない」としているが、2012年11月10日の朝日新聞では「出版元の秋田書店が重版を見合わせた」と報じられた。

 Xで糸杉氏は、問題となったのは性描写のリアルさや過激さではなく、テーマが近親相姦であることにあったことを明かし、
「古代から繰り返し描かれたモチーフが、封印される。このことの恐ろしさを、私はリアルに感じています。この恐怖を少しでも理解していただければ、幸いと思います。」
「私は、5年後、10年後にも本屋さんの一画に残っていてほしいと思いながら描いていましたよ。でも、その願いは、もう叶わないのです。」
「今後5年か、10年か、分からないけど、近親相姦は、描くことも読むことも、文字通り禁忌(タブー)となります。ある意味歴史的な転換点に立ち会ったわけです。」
 と心情を吐露している。

(「みる・きく・はなす」はいま)25年の轍:3 規制の前に自主規制
(前略)
 三島由夫の「音楽、島崎藤村の「新生」……近親者同士の一線を越えた関係は、昔から文学の世界で扱われている題材だ。
 東京都は一昨年に改正した青少年健全育成条例で、漫画やアニメに限って近親相姦(そうかん)などを賛美する表現を新たに規制した。
 仲の良い姉弟が一線を越える漫画「あきそら」の作者・糸杉柾宏さん(36)は「死刑宣告だった」と釈然としない様子だ。
 タブーであるがゆえににじみ出る背徳感が、作品に色を与えるという。糸杉さんは「タブーの理由が判然としないところに魅力がある」と言う。
「あきそら」は条例の改正議論中の執筆作品だったため、現場は萎縮。編集者からは性描写を抑えるよう言われ、条例施行前に無理やり話を終わらせ最終巻を出すことになった。「なぜ漫画が狙い撃ちされたのか」
 都は「一般の図書と分けて売ってほしいという趣旨で表現規制ではない」と説明。子どもに「近親相姦や子供を性の対象とする行為が許される」と勘違いさせてはいけないとの姿勢だ。
 図書規制に詳しいフリージャーナリストの長岡義幸さん(49)によると、戦後の書き込まれた9の件の有害コミック騒動など、子供の完全な育成を害するとされた漫画は「追放」された。ただ、「今回はこれまでの絵柄規制だけでなく、作品のストーリーにまで踏み込んだ」と指摘する。
「違反の基準が向上しないことで不安が増幅し、自ら萎縮する。同人誌の作家が言う。「印刷所も印刷してくれなくなった」
 条例の完全施行から約10カ月。新たな基準で規制された作品は、ない。

「朝日新聞」2012年04月30日朝刊

Googleアカウント停止事件

 2026年5月16日、糸杉氏はX上でGoogleアカウントをBANされた経験を語っている。昔描いたデータをドライブにアップしていた時に警告が出たとのことで、ドライブということは他者に見せる状態ではない保存のためのアップロードと考えられるが、そのような使用態様に対するアカウント停止は極めて疑問が残る。

 インターネットサービスを牛耳る巨大企業が、表現の自由に対して一企業としての立場に不釣り合いなどの絶対権力を握ってしまっている実態はいわゆる「GAFA憲法」として問題となっているが、その危険性についての注意が本投稿をきっかけに改めて喚起され、Xでは大きな反響を呼んだ。
 これによって他にも同様の処分を受けた人の実体験などが投稿され、Googleのアカウント停止リスクについて周知が広まった。Googleアカウントが他のサービスに紐付けられている場合、様々なインフラが一度に停止しかねないほか、停止時にサービス退会すらもアカウントが必要であるため非常な手間となる。
 また、これは完成品としてエロ作品を描く人ばかりの危険ではなく、服を描く前に裸の状態を下書きすることなども当然あるために、一般のイラストを描く人にも大きなリスクとなる(あなたは「プリキュアが宙返りしているところ」を先に体を描かずに服から描けるだろうか?)。
 そもそも、公開状態にしなかった画像がアカウント停止処分の対象になるということは、それらをGoogleが窃視しているわけであり、情報の機密保持等の観点からも、Googleに依存することのリスクが語られた。

 表現の自由に詳しい政治家のくりした善行氏は、次のように述べている。

Googleドライブがデータ内容を勝手に判別してアカウント停止する問題。見るのは自分だけでも問答無用。「このデータはダメだよー」と一部だけ弾くことも技術的に可能な筈なのに、しっかりアカウントごと停止と馬鹿にならないペナルティを与えるのは犯罪者扱いの要素が混じっているように感じる。
何より問題なのは、どういう表現がダメなのかの説明もされないし、それらのラインもシームレスに変更可能。誤判定も顧みられない。 今後、これらの統制がますます厳しくなっていくだろうことから、「表現の自由を大切にするデータストレージ」を今まで以上に評価し積極的に応援していくべきかも知れない。

クレカ問題同様、圧倒的シェアを持つ大手に運用を改めさせることは困難なので、現状においてテクニカルな回避策はあるかも知れませんが、ユーザーも意識的に依存を避けていくべきかも知れません。

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