【ヒトラーへ重ね合わす批判は国際的にはご法度】
2022年1月、立憲民主党の菅直人元首相が、橋下徹氏に言及したツイート中で「ヒットラーを思い起こす」と述べた。
橋下氏をはじめ弁舌は極めて歯切れが良く、直接話を聞くと非常に魅力的。しかし「維新」という政党が新自由主義的政党なのか、それとも福祉国家的政党なのか、基本的政治スタンスは曖昧。主張は別として弁舌の巧みさでは第一次大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす。
— 菅直人 衆議院議員(府中・小金井・武蔵野) 立憲民主党 (@NaotoKan) January 21, 2022
これに対し、橋下氏が持ち出した謎の珍論。彼が作った政党である日本維新の会の松井一郎・吉村洋文氏らも同調した。
ヒットラーへ重ね合わす批判は国際的にはご法度。こういうことを平気でやるのは京都大学の藤井聡氏のような非常識な学者。まあ今回は弁舌の巧みさということでお褒めの言葉と受けっておくが。それよりも強い野党を本気で作る気があるなら、大阪では自民に圧勝している維新政治を謙虚に研究すべき。
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) January 23, 2022
語るに落ちた #吉村洋文
— Shoji Kaoru 💙💛 (@Shoji_Kaoru) January 26, 2022
国際社会において「ヒトラーになぞらえる行為はありえない」と断言しておきながら、かつて #橋下徹 が他人をヒトラー呼ばわりしたことを追及されると逃げの一手💦
自分たちの不法・無法は棚に上げて、他党には被害者ヅラして攻撃するのが #日本維新の会
実に卑怯な連中だ💢💢💢 pic.twitter.com/lvhh8HWFft

もちろんそのような「法度」など存在しないし、国際法違反でもない。
国際法とは各国の批准する条約と、国際慣習法に分けられるが、そのいずれにも「ヒトラーになぞらえて批判してはならない」などというルールは存在しない。
そもそも菅氏と橋下氏という、日本人が日本人に対してした批判の内容であり、国家間の関係を統御する国際法の出てくる場面ではまったくない。
むしろ政治的な批判対象をヒトラーやナチスになぞらえるのは、陳腐と呼んでもいいほどのよくある批判である。「議論が十分に長引けばいずれ誰かがヒトラーを持ち出す」という意味の”ゴドウィンの法則”という言葉さえあるほどである。


過去にもそうであったし、今現在もそうだ。
橋下氏らが「国際的に御法度!」と騒いだ翌月、ロシアがウクライナ侵攻を開始すると、その大統領プーチン氏は全世界から猛批判を集めた。当然ながら彼をヒトラーになぞらえる論や表現も多く、「国際的に」普通にされる批判であることが改めて明らかとなってしまったのである。

「自殺したいなら地下壕で」 ウクライナ国連大使、プーチン氏をヒトラーにたとえる pic.twitter.com/mxmFrAxlQD
— ロイター (@ReutersJapan) March 1, 2022
日本でも国際政治学者の六辻彰二が、ロシアが【DEATH NOTE】や【【異世界アニメ】を規制したことを、伝統的・写実的な美術しか認めなかったヒトラーを例示して批判している。
そもそも橋下氏自身が、過去に他者をヒトラーになぞらえているのだ。
京大のちょび髭藤井ね。こいつは学者じゃない。結論先にありきで橋下府政前後のトレンド分析や大阪都構想と現状の府市との比較分析をせずにとにかく反橋下・反維新だけ。自分が一番賢いと勘違い。僕のことをヒトラー呼ばわりしておいてお前の顔の方が安もんのヒトラーだろ!お前の家には鏡がないのか! https://t.co/3arU6U5pms
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) February 18, 2017

突っ込まれた橋下氏は「私のは人格全体への侮辱ではない!」と言い張るも、そもそも菅氏も橋下氏の「人格」ではなく「弁舌の巧みさ」をヒトラーになぞらえただけであり、この理屈では菅氏のヒトラー発言もOKということになってしまう(まあ、OKではあるが)。
僕は、民主党の消費税増税法案をヒトラーの全権委任法以上と批判したが、法案を批判したわけで民主党の法人格全体をヒトラーに重ね合わせて侮辱したわけではない。またある学者の容姿を安もののヒトラーと言ったのは、その学者が僕のことをヒトラーと言ってきたことへの言い返し。
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) January 27, 2022
余談ながら【戸定梨香】事件においても、彼女を擁護して殺害予告を受けたおぎの稔議員がそれを公表したことについて「ヒトラーの手口」と言い掛かりを付けられたことがあった。なお、その後【全国フェミニスト議員連盟】側も普通に「殺害予告を受けた!」と公開したので、フェミニストも「ヒトラーの手口」を使ったことになってしまった。
殺害予告ならフェミニスト議連の議員氏も既に受けていて、しかもそれはおぎの議員や青識氏より時系列的には先なのに、騒ぎ立てないだけの良識はあった。
— 安達瑶b『内閣裏官房』5刷です (@adachib) October 1, 2021
一方自由戦士サイドは大騒ぎ。怖い怖いと怯えてみせて、ひたすらに憎悪を煽っている。誰がやったのかもわからないのにね。ヒトラーの手口でしょ。
他者をヒトラーになぞらえて批判するのは極めてありきたりなので、どのような陣営にせよこうしたことを言い出すとブーメランになってしまうのである。

参考リンク・資料:
https://www.newsweekjapan.jp/fujisaki/2022/01/post-32.php
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