光をめざして
子供こごろに、本当に怖かったことは
親に言えなかった。
小学生の夏休み、私は父と弟と市民プールへ行き
父と幼い弟は子供用のプールへ
私は高学年だったのかな、大人用プールへ一人で行った。
足のつかない大人用プールで
私は一人
底まで潜って、足をつけ
上まで上がるを繰り返して遊んでいた。
そのうち息が続かなくなり
水面を目指しながらとても苦しくなって
きっと私は溺れていたのだろう。
もがいていると水面に赤い浮き輪が見え
無我夢中でその浮き輪にしがみついた。
よく覚えていないけれど
大人の男の人がいて
その横にいる子供が赤い浮き輪をしていた。
その浮き輪がなければ
今私はここにいないかもしれない。
本当に怖かった。
大人になるまで
そのことは誰にも言えなかった。
*
それ以来、深いプールや海はとても怖いのだけれど
その時に見た水の底から見上げる水面の光景は
よく思い出す。
美しい光が差し込む水中。
あの時助けてくれたのは
大いなる力だったのではないか。
なぜ私を助けてくれたのか。
私は何をやるべきと決めて
この世に生まれてきたのか。
今の私は
あの時もらった命を生かせているのだろうか。
あの時見た色を思い出しながら
心の記憶の色を塗り替えてゆく。

「光をめざして」
2026.7.26
デジタル©️hoho
昔から人魚姫の物語に惹かれて
大人になってもその絵本を買った。
何か水と縁があるのだろうか。
