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怒る前に、聞けばよかった。

子どもに怒鳴ってしまった夜のことを、まだ思い出します。

お絵かきの途中、画用紙を片手にうろうろしていた長女に声をかけた瞬間。

「そうだった!」と言いながら、手にしていた画用紙をポイッと置いたんです。

その動作を見て、わたしは反射的に大声を上げていました。
  


「粗末にしちゃダメ!」


そう声を上げると、普段ほとんど怒鳴らないこともあって、長女は驚いてその場で固まり、ぽろぽろと涙をこぼしはじめました。

その顔を見た瞬間、「しまった」と後悔しましたが、時すでに遅し。

妻になぐさめられながら、長女が「ポイッってなげて、ごめんなさい」と言いに来ました。

このとき、ほんとうに投げたのか?何かしら理由があるのでは?と、疑問がわいたのです。
  


「どうして投げちゃったの?」


少し冷静になったわたしは、

「どうして投げちゃったの?」
「びっくりして手が滑っちゃった?」

と聞いてみると、ペンのインクを乾かしているところに声をかけられて、慌てて手から落ちてしまったと、ゆっくり話してくれました。

投げ捨てたのではなく、
ちゃんと理由があったのです。

「せっかくたくさん描いたんだから、大事にしてほしいな」

そう伝えると、長女は小さくうなずいてくれました。
  


「ちゃんと聞いてくれてありがとう」


「次から気をつけようね」と話を終わろうとしたとき、長女が「ねぇ、おとうさん」と呼びかけてきました。

「ちゃんと理由を聞いてくれて、ありがとう」。

その言葉に、胸を突かれるおもいがしました。

わざとじゃない、ちゃんと理由がある。

それなのにわたしは、見た目だけで決めつけて怒鳴ってしまった。

「ううん、謝るべきはおとうさんだよ。怒る前にちゃんと聞くべきだった、ごめんね」

そう言うと、長女は心底ほっとしたような顔で、ようやく笑ってくれました。
    


まとめ

怒る前に、一呼吸。
子どもの行動には、何かしら理由があるのです。

結果的に安心は取り戻せても、怒鳴ってしまった事実は変えられない。今でも反省しています。

いつも完璧にできないけれど。

あの夜の長女の「ありがとう」が、ひとつの小さな道しるべになりました。

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