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【本紹介_第7回】太田愛『犯罪者』|読み出したら止まらない、ノンストップクライムサスペンス

「あと十日。十日、生き延びれば助かる。生き延びてくれ。君が最後の一人なんだ」

太田愛「犯罪者」


白昼の駅前広場で起きた無差別殺傷。犯人は逮捕され、事件は「通り魔」で片づいた――はずだったのに、ただ一人助かった青年・繁藤修司は、なぜか再び命を狙われる。搬送先で「逃げろ。あと10日生き延びれば助かる」と告げられ、そこから物語は一気に動きだします。

修司を助けるのは、組織の空気に馴染まない刑事・相馬。相馬は大学時代の友人でフリーライターの鑓水を頼り、修司・相馬・鑓水の三人で事件の真相に迫っていく。ここが本作の見どころの一つで、三人の役割が噛み合うほど、物語の速度が上がります。あらすじの通り、「暗殺者に追われながら真相を追う」という“追われる側”のスリルを感じながら、ノンストップで事件が進みます。

ただ、『犯罪者』はスリルを感じるだけで終わりません。事件の裏には「大企業による恐るべき犯罪」が隠され、最初に見えていた構図がダイナミックに塗り替えられていきます。
ここで効いてくるのが、太田愛さん構想力です。悪者を一人捕まえて終わり、ではなく、被害者側がさらされる視線や、無自覚に「犯罪者」の側に加担してしまう人々まで描き込み、読んでいると、こちらの“正しさ”が何度も揺さぶられます。

だから読み味は、連続ドラマのように局面が切り替わり、二転三転するのに、飽きがこない。文庫版では上下巻と分量はありますが、ページ数が気にならないほどにどんどん引き込まれていきます。

最後に向けて、散らばっていた出来事が一本の線に収束していく感覚は、ぜひ読んで体験してください。読み終えたとき、驚きと同時に「そう繋がるのか」と腑に落ちます。
この三人組の物語は、2作目「幻夏」、3作目「天上の葦」とまだまだ続いていきます。続編も自然と気になる、そんな作品です。

タイトル:犯罪者
著者:太田愛
出版社:KADOKAWA

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