短編小説・羨望
あらすじ
勉は幼馴染の男の子に、自分には無い才能や自信を持っている事に嫉妬し、悶々とする日々に現実を突きつけられてしまう。
第三位 荻原 悟
「よっしゃ!!さすが俺!」
歓喜の声を上げているのは、残念ながら僕では無く、幼馴染の悟だ。
第五十位 笹原 勉 これが僕の実力だ。
悟は昔から頭が良く、僕に勉強を教えてくれる時もあったが、僕の頭の悪さに呆れて、その内、勉強の話しはしなくなっていた。
「やっぱり俺って頭良いからIQとか測ったら、やばいくらい高いんじゃないかって、たまに思うんだよね」
帰り道、悟は僕に自慢気にそう話した。
僕等の家は隣同士だから、帰る時は自ずといつも一緒だった。
「IQと学力はあまり関係ないらしいよ」
下を向いて歩きながら、僕は呟いた。
「はあ?出たよ、雑学王!勉強出来ないくせに、雑学だけは立派にあるんだよな!そんな事言うならエビデンスあるんだろ?言ってみろよ」
悟は、痛い所を突かれたのか、僕に食いかかってきた。鞄を持つ僕の手の平に、汗が滲み出る。
「なあ!ほら、どうした?言えよ!どーせ、分かんねえんだろ。ほんと、名前負けだな」
その瞬間、僕は車道側を歩く悟に向かって、思い切り右手を伸ばして押した。
「ドンッ」
低い音と、高いブレーキ音が辺りに響き渡る。悟を見ると、悟の頭は見事なくらいに前輪の下に潰されていた。
「ハッ、ハッ」
やった、やったぞ!ざまーみろ!!
ついに俺は、悟に勝ったと思った。でも、
「おい、なに立ち止まってニヤニヤしながら下向いてんの?普通に引くわ」悟が言った。
悟を殺ったのは、ただの僕の妄想だった。
「自分で調べればいいだろがっ」
現実で言った、精一杯の僕の言葉は、到底悟には届かないほどの、弱々しい小さな声だった。
情けない程に、これが僕なんだと言うことを痛感した。
2025.4
ありがとうございました。
