八王子、DOMAという店
5月4日(日)のライブ会場であり、長らくお世話になっているDOMAというお店について。食べログやホットペッパーに紹介ページはあるものの、時期によってまったく違う様相を見せるお店ゆえに、その実態を正確に紹介しているとは言い難く、友人知人に「このお店でライブをやるからね」と伝えられるちょうどいいWEBサイトが存在しない。そこで、私の知る範囲でDOMAの成り立ちや現状を紹介しようと思った次第。
そもそもDOMAは何屋さんなのか? 基本的にはカフェ。2025年4月からは平日のランチタイムはタコス屋さんとして営業している。これまではマスターの廣井さんが切り盛りしてきたが、タコス営業は廣井さんのバンド「ORAMA」のギタリスト・ゆうとくんが切り盛り中だ。
廣井さんはパンロゴという打楽器(アフリカ・ガーナのセレモニードラム)のプロ奏者でもある。若かりし頃、ガーナ人の師匠について演奏を習い、現地で修行もしていたそう。近年は自身のバンドでフェスに出演したり、サポートミュージシャンとしてお呼ばれしたり。若いころはストリートでアコギの弾き語りをしていたとのことで、日本のフォーク音楽カルチャーにも詳しい。音楽活動の他、レコーディングエンジニア、ライブのPAなど、音楽現場の裏方としても活動している。
そんな廣井さんのお店なので、DOMAには防音設備や音響機器があり、小編成バンドや弾き語りのライブが可能。最大キャパは25人くらい。カメラ4台によるスイッチング映像の録画、配信もできる。出演者は、廣井さんの顔なじみミュージシャンたち。過去には元たまの知久寿暁さんのソロライブ、今度の5月14日にはROVOの勝井祐二さん、DACHAMBOの松本YAO善行が出演するライブが開催される。
本投稿の序盤に、DOMAは「基本的にはカフェ」だと書いた。ゆうとくんのタコスの他、通常メニューとしてカフェメシも充実しているので、ライブの前後に食事をするお客さんも多い。個人的には、タイカレーまぜ麺(サラダ乗せ)がおすすめ。オリジナルメニューのガーナライス、ドマシェークも人気だ。アルコール類も販売している。


しかし、カフェ営業とライブ運営だけでは生活が立ち行かないからなのか(?)、廣井さんはDOMAを休んで他の仕事に出かけてしまうことも多い。そのため、お店は不定休。ライブのない日にDOMAまでふらりと行ってみて、やっていればラッキーという感じ。よく言えば普通のカフェの枠に収まらない型破りなお店、悪く言えば気まぐれマスターのデタラメカフェ(失礼!)。それがDOMAである。
マスターの廣井さんに、DOMAをどんな店にしていきたいのか聞いたことがある。すると廣井さんは「目標は八王子版OASIS」とコメントしてくれた。廣井さんの言う「OASIS」というのは、葉山・森戸海岸にある海の家OASISのことだ。
OASISは、森戸海岸にある飲食ができる海の家。店内にはライブステージがあり、日替わりでアーティストがパフォーマンスを繰り広げる。廣井さんは、そんなOASISに長年スタッフとして関わってきた一人。廣井さんは、敬愛するOASISの空気感をそっくりそのまま地元八王子で再現したいと考えているという。
私もOASISには何度か行ったことがある。夕暮れどきの砂浜で、お酒を飲みながら音楽を浴びるのは格別の体験だった。あのOASISならではの解放感を八王子にもってこうようという廣井さんの野望はなかなかに壮大だ。DOMAを利用したミュージシャンの多くが居心地の良さを賞賛しているので、廣井さんの野望は半ば達成できているとも言える気がする。
4月下旬、DOMAの軒先ではタケノコが売られていた。廣井さんの住まい(DOMAとは別の場所)の裏庭にある竹やぶで採れたタケノコ。通りがかりの人に売れ行き好調だったという。ますます何の店なのか正体不明だが、これもまたDOMAらしい。

いまDOMAのある場所は、廣井さんの実家の一階部分。かつては廣井さんのお父様が経営していたクリーニング屋さんがあった場所とのこと。当時、廣井さんはエスニック雑貨店・チャイハネのバイヤーとして働いていたが、退職後にクリーニング店の脇にあった〈土間〉で雑貨販売業を営んでいたそう。そのときに「DOMA」という店名を名乗り、それが後々までの屋号になった。
お父さんが亡くなったのち、雑貨店を土間からクリーニング店の跡地に移動。しばらくの間、DOMAは雑貨店として営業していたが、いつの間にかカフェに変貌した。そういえば、店内の大半はレコーディングブースに占領されていたっけ。返す返すも型破りだ。
そしてコロナ禍の間に改装して現在のような店内に。DOMAが雑貨店からカフェに変わり、現在に至るまでの廣井さんの経歴は、話を聞いてみると非常に興味深い。しかし、まぁまぁな長さになるし、私がここで語るべきことでもないと思うので省略する。
私自身は、DOMAが雑貨屋さんだった時期の最後期に、当時熱中していたフットサルを通じてマスターの廣井さんと知り合った。お互いに八王子出身で、音楽方面でのつながりもあって、何かとDOMAにお邪魔させてもらうように。弾き語りライブがDOMAを盛り上げる一助になれば私としてもうれしい。
DOMAにライブを見に来る人にとっては、どうでもいい情報も多かったかもしれない。でも、私のライブを見るためにDOMAに来たのなら、お店が醸し出すなんともいえない心地よさも満喫してもらいたい。というか、ライブは二の次で、DOMAを味わうために私のライブがある日を利用してもらっても構わない。ぜひ一度、訪れてみてください。
