落とし物、届いてますか?
町立よろず落とし物保管所。そこには町で拾われたいろいろな落とし物が届けられ、保管されている。
ガラガラ~。引き戸を開けて入った。
「すみませーん。落とし物、届いてませんか」
私が声をかけるとカウンターの下からにゅっと男が出てきて答える。
「はい。落とし物、届いてますよ。あなたが落とす前から届いてます」
調子のいい男は嫌いじゃない。届いていると言ってるので、届いてるんだろう。
「扇子なんですけど、届いてますか。あれがないと困るんです」
男は私をじろじろと上から下まで眺めて言った。
「そのようですね。今のあなたは、とことんセンスがないようです」
改めて他人に言われなくても、服装のセンスがないのは、自覚している。だが、面と向かって言われると、少し悲しい。
「それで……扇子、届いてますか」
「はい。ちょっと待ってくださいね。ハンディ・ファンじゃなくて、扇風機じゃなくて、エアコンじゃなくて……あ、ありました! これですか?」
男が扇子を3本出してくる。
「金の扇子と銀の扇子と普通の扇子がありますが、あなたの落とした扇子はどれですか?」
(おまえは落とし物保管所の妖精か!)
「普通の扇子です!」
「正直者でよろしい。では、3本ともあげましょう」
そんなにいらないが、落としたときのスペアに、ありがたくもらっておく。
「ところで、その扇子、そんなに大事なものなんですか?」
「大学の落研で、彼女からもらった扇子なんです。それがないと、あらゆる話にオチがつかなくて……」
「なるほど。それでさっきから落ち着かなかったんですね」
おもしろいことを言う男だ。これも扇子の力か。
御礼を言って保管所を出る。外は酷暑。それでも、この扇子があれば最高に涼しい。私があおぐと寒いくらいだ。
(了)
いいなあ、その扇子。今年の夏はとにかく暑くて暑くて……。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
コッシーさんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#チャレがや #おとしもの #みくまゆ会
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
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