それより、ご注文は?
十年ぶりに彼女は生まれた町に帰って来た。懐かしい商店街の食堂に飛び込む。
「いらっしゃいませ。ご注文は?」
彼女は店員の顔を見て話しかける。
「幼稚園で枝豆組だったでしょ」
「そうでしたが……」
「一緒にお遊戯したじゃない?」
「みんなでしてましたけど」
「すべり台も一緒に滑ったでしょ」
「二人では一緒に滑れないです。それより、ご注文は?」
彼女はくじけない。
「小学校も同じクラスだったよね」
「クラスは一つでしたから」
「一緒に勉強したじゃない?」
「同じクラスですから。で、ご注文は?」
ようやく彼女は観念した。
「冷やし中華」
「承知しました」
食べ終えて会計を済ませる。
「また来るね」
「ありがとうございました」
「今度は懐かしい話もしようよ」
「覚えてませんが」
彼女は笑って店を出た。少し歩いてから引き返し、バッグからマジックを取り出すと、店頭の旗に書き込んだ。
「冷やし中華はじめました」は「幼馴染はじめました」に書き換えられていた。
(了)
夏はやっぱり冷やし中華ですね~。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
田原にかさんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#毎週ショートショートnote #幼馴染はじめました
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
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