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七転び、やっと起き|#アマノ文筆クラブ

#ショートショート  本文:701字)

 むかしむかしあるところに、とにかく寝ることが大好きな男がいた。
 ひまさえあれば寝る。ごはんを食べても寝る。歩きながらでも寝そうになる。

 そんな男が家の真ん中で大の字になって昼寝をしていると、奥さんがほうきを持ってため息をついた。
「掃除のじゃまだから、今日は裏山のてっぺんででも寝てきておくれよ。ぽかぽか陽気で気持ちいいし」

 そう言われ、男は半分以上寝ながら裏山へ向かった。
 山道をのぼっていると、上の方から、おむすびがいくつも転がり落ちてくる。
 そのあとを、必死の形相で追いかけてくるおじいさん。
「ま、待てい! わしの昼飯〜!」
 おじいさんが足をもつれさせ、よろけた勢いで男にドンとぶつかった。

 その瞬間、男の身体は転がった。
 前転、後転、側転、宙返り――くるくるくるくると器用に転がっていく。
 七回転目、男はぽっかり開いた穴にストンと落ちた。

 男は、後方伸身宙返り三回ひねりで穴の底に華麗に着地した。本人は寝ぼけながらも、高難度の技を決め、そこで目が覚めた。

 穴の中では、ネズミたちが円座になっておむすびを食べていた。
「梅うまいな」「昆布もいいぞ」「おかかは香りがええ」「ツナマヨは最高や」
 みんな幸せそうに頬をふくらませている。

 そこへ男が降ってきたので、ネズミたちはびっくりしたが、すぐに礼儀正しく言った。
「おむすびを落としてくれたお礼に大きいつづらと小さいつづら、どちらか一つをプレゼントするよ」

 男はしばらく考え、ぽつりと言った。
「大きくても小さくても、どっちでもいい。つづらよりも……枕がほしい」

 そう言いながら、男はつづらを枕に、うつらうつらと穴の底で気持ちよさそうに眠り始めた。

(了)

幸せな夢を見てくださいね。


はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
甘野充さんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#アマノ文筆クラブ #七転びやっと起き


メンバーシップやってます。メンバー絶賛募集中。

では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。

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