恐ろしい雪山 / #シロクマ文芸部
( #ショートショート 本文1305文字)
雪が降る夜は山に近づいてはならない。世にも恐ろしいもののけたちがうろついているからだ。
隣村の与作が、雪の夜、山で道に迷ったときのことだ。与作は道の向こうから山のように大きな白い男を遠くに見つけた。急いで岩陰に隠れた与作のすぐそばを男は行き過ぎた。だが、与作がほっと息を吐いたとき、男は振り返った。
「あのう、そこのかた。私の奥さんを見かけませんでしたか」とていねいに男が聞くので、少し安心した与作は岩陰から出てきて「あなたは誰ですか」と声をかけた。
「私は雪男のユキオと言います。雪の男と書きます」
雪男だということに驚いた与作だったが、男があまりにも困っているようなのでいっしょに探してあげることにした。
しばらく行ったところで、与作は女の人が倒れているのを見つけた。駆け寄って声をかけると女は起き上がり、「危ないところでした。もう少しで行き倒れになるところでした」と礼を言った。彼女は髪の長い真っ白なきれいな女性だった。
雪男があとから駆け寄り、「ユキメ、大丈夫か」と声をかけていたので、探していた奥さんだということがわかった。
「ありがとうございます。私はこの人の妻で、雪女のユキメと言います。雪に女と書きます」とその女性が言うので、雪男の奥さんはやはり雪女なんだと与作は合点がいった。
「あなた、ごめんなさい。ちょっと目を離したすきに、うちの子が家を飛び出してしまって……」と雪女は泣きながら雪男に謝る。「謝らなくてもいい。私もいっしょに探そう」と雪男は妻の肩をやさしく抱いた。
乗りかかった船——きっと雪の船だと思う——なので、与作も家を飛び出したという子どもをいっしょに探した。たぶん雪男と雪女の子どもだから、雪ん子に違いないと与作は想像していた。
三人で手分けして探していると、与作はマントをなびかせて白くて丸い団子のような物体が空を飛んでくるのに気がついた。そいつはゆらゆらと飛んできて近くに降りた。
「雪だるまんさん!」と雪男が声をかけたので、この変なヒーローらしきヤツが雪だるまんだということがわかった。最近、アンパンマンに出てこないと思っていたら、こんなところにいたのか、と与作はちょっとうれしくなった。
だが、「ああ、だるいだるい。めちゃめちゃだるい」と雪だるまんの態度が悪い。確かにこいつはだるいヤツだと与作はがっかりした。そして、雪だるいまんに改名しろと心の中でつぶやいた。
「ああ、だるい。あなたたちの探している子どもはこの子かね」と雪だるまんが自分のお腹をえぐって出してきたのは、オウムのような真っ白な鳥だった。雪ん子ではなかった。
「そうです、そうです。ありがとうございます。この子です」と雪女が言う。与作は「この鳥がお子さんなんですか」と彼女に聞いた。
「そうなの。うちの大切な家族なの。この子は雪インコの雪子と言うのよ」
与作は雪ん子と雪インコが近かったので、惜しかったなと思った。
そんなこんなの恐ろしいことがあったあと、与作は彼らに道を教えてもらって、無事、家に帰ったという。
雪が降る夜は山に近づいてはならない。世にも恐ろしいもののけたちがうろついているからだ。


はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
こちらの企画に参加しています。
いつもありがとうございます。よろしくお願いします。
主宰: #小牧幸助さん
企画: #シロクマ文芸部 お遊び企画
お題: #雪が降る
また今日もどうでもいい話を書いてしまった。

では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。

スキ、コメント、フォロー、記事紹介、チップ(サポート)、どれも大歓迎です。お待ちしています。
#いつきさん 、いつもありがとうございます。
#賑やかし帯 保管庫はこちらです。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!