違法食堂
( #ショートショート 本文:879字)
新しい店で「いつもの」と注文すること。それが俺のひそかな楽しみだ。
駅前に新しい食堂ができたというのでさっそく行ってみた。
中に入るとカウンター席の向こうで、ねじり鉢巻きの大将が料理を作っているのが見えた。
二人席のテーブルに着いて大将に「いつもの」と注文する。
大将からは返事がなく、奥から執事のような正装をした男が出てきた。
「申し訳ございません。ただ今の時間はランチタイムとなっておりまして『いつもの』はございません。ご提供できるのはひとつだけでございます」
うーん、残念。しらっとかわされてしまった。
「そうか。なら、それで頼む」
「通常通りでよろしいですか?」
「ああ、その『通常通り』で頼む」
通常通りという切り返しが斬新だな。いったい何が来るのか楽しみだ。
執事が料理を運んできた。
「砂漠ランチでございます」
砂漠ランチ? おいしそうな肉らしきものが皿に乗っているが……。
「ご説明いたします。
メインディッシュは、サバクトビバッタのグリル串、サバクトカゲのロースト・スパイス仕立て、カンガルーラットの香草ローストでございます。
いずれも砂漠で食される美味でございます」
説明は聞かなかったことにしよう。
「そして、サラダには、ウチワサボテンの果肉をスライスしてオリーブオイルとライムでさっぱりと味付けしております」
サボテンはトゲ抜きしてあるみたいだな。
「それと、これは内密にお願いしたいのでございますが、こちらのスープは、保護対象となっている、砂漠の貴重な鳥、アナホリフクロウの骨から取った濃厚なスープでございます」
そんなの獲っちゃ、ダメだろう。それって犯罪じゃないのか。
と思いつつ、砂漠ランチは俺の腹にしっかり収まった。いろんな意味で刺激の強いランチだったが味はなかなかのものだった。
勘定を済ませる。1200円とは良心的だ。明日も来よう。
翌日、レストランに行くと閉店していた。刑事がパトカー無線で叫んでいるのを近所の人が聞いたという。
「事件は砂漠で起きてるんじゃない! 食堂で起きているんだ!」
『踊る大捜査線』の新作のロケだったんだろうね。

はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
こちらの企画に参加します。
はらとけいさん、いつもありがとうございます。
よろしくお願いします。
主宰: #はらとけいさん
企画: #せりふ三題噺
お題: #踊る砂漠フクロウ 「通常通りでよろしいですか?」
来年、新作が公開されるみたいですね。青島刑事、砂漠ランチを取り締まる!

創作大賞に応募しています。( #私の作品紹介 )
共作企画やってます。与仁岡町に遊びに来てね。
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。

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