ネタがない
「ねえ、なんかネタない? 俺もう空っぽなんだよ」
「なに言ってんですか。もとから空っぽだったでしょ」
俺のことを俺よりもよく知る、たった一人の友から冷たく言われる。
「なんかこう、センセーショナルで、どっきりするけど、最後は家族が暖かくなるような──そんなネタ、知らない? ヒントでもいいから……」
「しょうがないわねぇ。じゃ、こんなのはどう?」
***
雨の午後、無口な家政婦は時間ぴったりにやって来た。名も告げず、うなずくだけで挨拶し、靴を揃え、すぐにキッチンへ。包丁は正確に鳴り、洗濯は手際よく進み、散らかった部屋は気づけば整っている。誰も彼女の表情を読めない。
今日の作業が終わると、彼女はリビングのソファに横になり、瞼を閉じる。休憩時間は仮眠するのが習慣になっていた。
その瞬間、娘が小声で囁く。「今なら……」父は彼女の鞄に目をやり、母は止めようとして言葉を失う。鞄の口から、一枚の写真がのぞいていた。引き出してみると、そこにはこの家族が笑って写っている。だが、誰も撮られた覚えがない。
空気が凍りついた、そのとき──
「今朝です」
背後から声がした。振り向くと、家政婦がいつの間にか立っている。無表情のまま続けた。
「皆さんが同じテーブルにいたので」
誰も何も言えない。そんな当たり前を、最近していなかったと気づく。
その夜、家族は自然と同じ席に集まった。会話はぎこちない。それでも、食卓には確かな温もりが戻りつつあった。
彼女は今日もどこかの家で家事をする。彼女がソファで横になり、瞼を閉じるとき、家庭の平和がよみがえる。
***
「いいじゃないか! さすがは俺の育てた生成AIだ」
「あなたは全然成長しないけどね」
『家政婦はネタ』──この作品はドラマ化され、大ヒットした。
(了)
どこかで観たようなドラマですけど、いい話ですね。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
甘野充さんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#アマノ文筆クラブ #ネタがない
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では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
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