都市伝説の女
( #ショートショート 本文:655文字)
曇り空の日は気分までどんよりと沈んでしまう。そして、お腹が空く。
派遣契約を打ち切られて3か月。わずかな貯金から、クレジットの支払いと家賃や光熱水費を払うと、食費はほとんど残らなかった。
あちこちのスーパーの試食コーナーで食欲を満たし、昔、喫茶店に行けていたころに持ち帰った大量のスティックシュガーを少しずつ舐めて飢えをしのいだ。
夜になれば、男を見つけに行った。お金があったころは、きれいだ、かわいい、と言われていた。暗がりだとすっぴんでもそこそこに見えるかもしれない。食事をおごってもらおう。
私はなけなしの白いワンピースを着て、優しそうな(ごはんをおごってくれそうな)男に声をかけた。
蚊の鳴くような声で「ちょっとすみません」と声をかける。お腹の虫が「ぐるるるる」と鳴く。男が振り向いたところで、にこっと笑う。そのとたんに、男は「ギャー!」と声を上げて逃げていく。
そんな夜が何度か続き、私は『都市伝説の女』として有名になっていた。そんな噂など、どうでもいい。私の食欲を満たしてくれる男がほしい。
その夜も、私は気の弱そうな(お願いしたらごはんをおごってくれそうな)男が通りを歩いてきた。「あの~、すみません」と声をかけると男は振り向いた。私はにこっと笑う。
男は「はが、はが、はが……」と口をパクパクさせて立ちつくしている。私は逃がすまいと腕をつかんで「ねえ、お願いがあるの」と声をかける。
男はなんとか声を絞り出した。
「歯が、歯が、虫歯だらけの女ーーー!」
私の歯は貧乏生活でボロボロになっていた。


はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
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主宰: #小牧幸助さん
企画: #シロクマ文芸部 お遊び企画
お題: #曇り空
続きはこちらにあります。まだ読まれていない方はどうぞ。
もともとはこの部分はボーンさんの作品(お題)でしたが、創作大賞用にショートショートをまとめているときにどうしても必要になったので、リメイクさせていただきました。彼目線だったのを彼女目線に書き直しましたので、このリメイク記事を使用させてください。
ボーンさんの記事はこちらです。
尻もちをついて腰が痛かったので医者に行くとコルセットをつけて。4月中は安静にしなさいと言われました。とほほほ。
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。

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