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いなくなった私、帰って来た

#ショートショート  本文:835字)

 ネタが思いつかないときは散歩をすることに決めている。だが、こうも暑いと命の危険を感じる。今年の夏はまるで『灼熱地獄』だ。

 陽だまりで立ち止まってサングラス越しに空を見上げる。そろそろ雨が降ってほしい。水不足も心配だ。それにしても暑い。

 ただでさえ、猛暑、酷暑なのに、日向ひなたは沸騰している。じっとしていても、バターになって溶けてしまいそうだ。

 少し背が低くなったような気がした。見ると足が短くなっている。そうか、やっぱり溶けたか。身長は高い方だったから、少しくらい低くなってもかまわない。足が短くなるのはちょっと嫌だけど。

 溶けたところはバターになったんだろうか。子どもたちがパンに塗ろうとしている。やめろ! ここは地面の上だぞ。バイ菌がたくさんいる。お腹を壊すぞ。ほら、まずいだろ。でも、まずいと言われると少し傷つくが。

 さらに溶けた。腰から下が溶けている。散歩の犬が舐めようとする。やめろ! 汗臭いぞ! 熱中症対策に塩分を補給するには最適かも。うわっ! おしっこをするのはやめて。混ざったら、どんな化学反応をするかわからないから。

 ほとんど溶けた。地面から首が生えている状態だ。さらし首になった気分だ。地面に近いとなかなかスリルがある。自転車に轢かれそうになったが、うまく転がってかわせた。昔、ボーリングのピンになるバイトをしていた経験が生きた。ピンが逃げちゃダメでしょ。(冗談です)

 完全に溶けた。地球と一体化した気分。……てか、水分、蒸発してるんじゃない? なくなっちゃう? こんなことなら、干物になっておいしく食べられた方がよかった。

 そして……私はいなくなった。次に雨が降ったら、きっと帰ってくる。帰って来るかもしれない。帰って来れればいいな。

 しばらくして、私は天気予報士さんの指示に従って空から帰って来た。

 私はそのときの体験をこうして物語にしている。これでいいのだ。
 なお、賢明な読者諸君はすでにお気づきだと思うが、これはフィクションである。

短くも壮大な物語です!

はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
こちらの企画に参加します。
灯火さん、いつもありがとうございます。
よろしくお願いします。

主宰: #灯火さん
企画: #第3回灯火杯
お題: #夏 #気づき

過去作品のリメイクでエントリーします。

#ほぼ毎日ショートショート

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