そのとき、そいつは叫んだ
( #ショートショート 本文:795字)
この日、私は何をしていたのだろうか。手帳には何も書かれていない。空白のページが何かを言いたげに私を見つめていた。
そうか。この日は散歩に行ったんだ。
『散歩。木陰が涼しかった』と手帳に書く。
書き終わったとたん、文章が変化した。
『マンボ。トカゲがすずり買った』
なんだ? どういうことだ?
突然、部屋が暗くなり、音楽が流れる。
チャッ、チャ、チャチャッ、チャ、チャッチャ、チャッチャ……
マンボのリズムに合わせてトカゲが踊る。マラカスの代わりにシェイクしていた墨汁を、デパートで買ったばかりのすずりに噴射する。
シュールなシーンだ。意味がわからない。字を書き間違えたのか。そのせいでこんな光景が目の前に広がったのか。どうやればこんなふうに間違えられるんだ。これは私のボケなのか。自分の才能が怖い。
書いた文章を消す。何も起こらなかったことにして手帳を閉じる。空白のページが自動的に開き、何かを書け、というようにこちらを見つめている。
期待に応えねばなるまい。だが、うまい文章(ボケ)が浮かばない。いや、普通のことを書けばいいのだ。私は天然だ。記念物にもなった男だ。わかった。書いてやる。心を無にして文章を書く。
『何をしたのか、思い出せない』
すっぱーーーん。目の前に星が飛んだ。
思い切りハリセンで顔を叩かれた。
そんなんで、どないするんや。ハリセンで顔、叩いたろか。そしたら思い出すやろ。あ、もう叩いてもてるやん。どや、思い出したか。
——そんな声が手帳から聞こえた気がした。
めんどくさいヤツ。こういう、べたべたのツッコミは苦手だ。距離を置こう。山道で突然クマに出会ったときのように、目をそらさずに後ずさる。
手帳がパタパタと羽ばたきながら迫ってくる。
やめろ! ホラーだ。ここは平地だが怪談だ。イヤな汗が背中をつたう。
そのとき、手帳が小声で私に叫んだ。
「かまってちょー!」

はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
こちらの企画に参加します。
iさん、よろしくお願いします。
#風まかせ文芸部 #手帳
最後のひとことを書きたかっただけです (^_^;)。

Talesやってます。読みに来てね。
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。

いつきさんの賑やかし帯を使わせていただいてます。
いつもありがとう\(^o^)/。
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