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旅は道連れ|#あなたの旅ショートストーリー

#ショートショート  本文:691字)

 江戸へ向かう参勤交代の道中、貧乏藩の一行は、草鞋の紐も緩みがちな秋の峠を越えていた。

 殿様は、普段は威厳を保つも、旅の三日目にしてすでに股ずれに悩まされていた。絹の袴が擦れ、歩くたびに「うぅ…」と呻く。家臣たちは見ぬふりをしていたが、駕籠の中から漏れる呻き声は、もはや風鈴のように耳に残る。

「殿、少しお休みを…」と、老臣が進言し、一行は小さな宿場町に立ち寄った。

 そこで出会った町娘。年の頃は十七八。白粉も塗らぬ素顔に、栗色の瞳がきらりと光る。彼女は薬草を売る家の娘で、殿様の様子を見て「大丈夫ですか」と声をかけた。薬草を煎じて患部に塗布し、さらに「歩き方が悪いのです」と、殿様に正しい歩き方を指南する。

「こうです、殿。腰を落として、すり足で…」
「う、うむ…すり足…すり足…」

 殿様は娘の手を借り、まるで能の稽古のように歩き始めた。家臣たちは目を伏せ、笑いを堪えた。

 その後、娘は一行に加わり、薬草係として江戸まで同行することに。道中、殿様は彼女に歩き方を教わりながら、次第に心を通わせていく。

 だが江戸に着く頃には、殿様の患部の痛みは完治したが、次第に心が痛み始めた。

「かたじけない。そなたは江戸までついて来てくれたが…余はただの情けない貧乏藩の殿である。そなたに何も与えられぬ……」

 娘は微笑み、「殿、旅は道連れ。情けないのは情けがある証です」と言って、そっと薬草の包みを手渡した。
 殿様はそれを懐にしまい、参勤の儀へと向かった。

 殿が娘に言った言葉は事実とは少し違った形で伝えられ、その後、江戸の町で「すり足殿様」の藩は妙な人気を得ることとなる。

「旅は股ずれ、余は情けない」

(了)

江戸時代にバズったお話ですね。


はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
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では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。

#江戸時代 #参勤交代 #殿様 #すり足 #旅は道連れ世は情け #旅は股ずれ余は情けない

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