うさぎは数えたい
むかしむかし、因幡の国へ渡りたい一匹の白うさぎがいましたが、海を渡る方法がありません。
そこでうさぎは、海に住むサメたちに「君たちの数を数えてあげるから、一列に並んで」と持ちかけました。サメたちはそれに応じて、海の上に長い列を作ります。
うさぎは「一匹、二匹……」とサメの背を跳び移りますが、最後の一匹に乗っても陸に届かず、勢い余って落ちそうになりました。
「おっとっとっと……」身体をのけぞらせて、なんとか海へ転落するのを防いだうさぎでしたが、驚いてサメの数を忘れてしまいました。
「ごめん。どこまで数えたか、忘れちゃった」
しかたなく、うさぎは、最初の一匹まで戻って数え直しました。今度は忘れないよう紙にボールペンで「正」の字を書きながら跳んでいきます。しかし最後の一匹でまた落ちそうになり、のけぞって踏みとどまりました。
でも、大丈夫。今度はメモがあります。
「ありゃ? 字が半分消えてる」
その日は気温が高く、消えるボールペンで書いた字は消えてしまっていました。
うさぎはもう一度戻り、今度は万年筆で書きながら飛んでいきましたが、最後の一匹でのけぞって転落を免れた際にメモが濡れてしまいました。
「あららら。字が読めなくなっちゃった」
染料インクの万年筆だったので字がにじんで数がわかりません。
サメは「もうだいたいでいいよ」と言いましたが、うさぎは「ちゃんと数えなきゃ」と譲らず、また最初から数え直しその後も何度も数え直し、そのたびに落ちそうになり、のけぞってはやり直します。
「因幡の国へ行きたいのなら、乗せてってあげるよ」とサメが言っても、うさぎは「ぜったい数えるんだ」と譲りません。
「どうしてそこまでこだわるの?」
「僕は負けず嫌いだからね」
先日、マラソンで亀に負けたのが、よほど悔しかったようです。
そして、結局、うさぎは、当初の目的、イナバウアー、じゃなかった、因幡の国へ渡ることはできませんでした。
(了)
次はかちかち山での活躍に期待しています。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
はらとけいさんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#せりふ三題噺 #負けず嫌いだからね #うさぎボール万年筆
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
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