どうして、あのとき……
( #ショートショート 本文:410字)
ハルコ先生――幼稚園で「先生のこと、好き?」と聞かれたとき、僕は「うん」って、答えられなかった。あのとき、どうして答えられなかったんだろう。もし先生だったら。いまさら言えない。置いておこう。
ナツミちゃん――小学校で毎日いっしょに遊んでいた。転校してそれっきり。住所を聞いておけば手紙を書けたのに。もし彼女だったら。いまさらだ。置いておこう。
アキエ先輩――中学校の吹奏楽部。いつも優しく指導してくれた。先輩が卒業する日に渡せなかった手紙。もし彼女だったら。僕のことなど覚えていない。置いておこう。
フユミ――高校時代の彼女。喧嘩したわけでもないのに、なんとなく別れてしまった。もし彼女だったら。どんな顔で会えばいいのか。置いておこう。
倉庫に戻ると上司に叱られた。
「いくつも苦情が来てるぞ。どうして全部置いてきたんだ」
「表札を見て、対面で渡す自信がなかったので、すべて置き配にしました」
僕は宅配業者に向いていない。
(了)
そろそろ後ろを振り向くのをやめて、前を向いて進みましょう。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
田原にかさんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#毎週ショートショートnote #未練配達員
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
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