エッセイ 眺めていられるから。
眺めていたいと思う絵の話をしようと思った。
主に、絵画のあたりで。
サムネイルの絵は、スーラの一枚。
やっぱり私は絵画においても、情景を好んでいるみたい。
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寒暖差を例年よりも感じた四月。
恵風を感じる朝がありつつ、昼日中はじわじわと暑さが寄ってくる。
ふいに冷たい飲み物がほしいと思った。
でも、まだ氷は入れなくていいかな。
常温で喉越しを楽しめる緑茶がほしいと思う。
今回は、絵の話。
好きなジャンルの話なんだけど、あまり語ったことがなかったからね。
空気感を味わえる絵が好き。
これまで、noteで毎週水曜日に報告や雑記の記事を掲載するようにしていた。
その掉尾、しめくくりにいつも載せていた絵があったと思う。
黒田清輝の『読書』。
東京国立博物館に収蔵されている日本の近代絵画。
パリの農村に住む少女をモデルにして制作された一枚。

制作年:1890-1891年 所蔵:東京国立博物館
読書する女の眼差し。
もたれかかり、ゆったりと構えた姿勢。
よれたページがバラけ、しまりのない本。
光を当てながら読んでいる構図。
場が静けさと和らいだ雰囲気を醸す中で、黙々と読書に興じる空気感が伝わってくる。
そういう読書の瞬間を切り取った一枚がとても好ましくて、私はこれを紹介していた。
あわせて、同じく『読書』に言及していた長田弘の『自分の時間で読み継ぐ』という評論の文章を紹介している。
文字を見つめることは、こんなにも人の眼差しを透明に、無私なものにするものなのか
読書に興じるひとときの充実した空気感を表した素敵な一文だと思う。
とくに「眼差しを透明に」「無私なものに」は、情景の文章としてもよく響いてくれるフレーズな気がした。
『自分の時間で読み継ぐ』は、かつて新聞に掲載されていた読書論のコラムで、今は明治書院の『精選 現代の国語』に収録されている。
日本の教育課程でいえば、高校生の現代文で扱う分野の文章になる。
本を読むという営みそのもののあり様をについて述べる洗練されたコラムで、教科書の冒頭に収録されていた。
これからの子どもたちにまず読んでほしいと、当時の担当者は思ったにちがいない。そして、私もそれに共感している。
📚️
話がやや脇に逸れた。
今回は絵の話をしたかったのだが、つまるところ私は、こうした情景の一瞬を切り取ったものや、確かな空気感をまとっている絵画を見かけると、つい眺めてしまう。
好ましく思ってしまう。
だから、まず黒田清輝の『読書』を紹介させてもらった。
脇道ついでの余談ではあるが、読書する女性像は絵画でよく描かれるモチーフのひとつでもある。

制作年:1769年 所蔵:National Gallery of Art
眼差しの透明さや無私の空気感を纏うものを見かけたら、ついそれを眺めてしまう。
風景画というよりも、一瞬を描き出した情景の画。
上段で、黒田清輝の『読書』の絵を紹介しつつ、私の絵に対する好みを粗方お話しできたと思う。
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珈琲の黒、余白の白。文体と情景の記録
ななくさつゆりの裏口。 文章を紡いでいく影で起きている日頃のことや創作裏話をこの有料購読マガジンでお届けします。 旧称『コーヒーチケット…
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