持株会社の株主が「現社長」では、ほとんど効かない——自社株2億・その他財産1億・子2人で、3代分の相続税を全部計算してみた
「事業承継対策なら、もう済んでますよ。ホールディングスを作りましたから」
この言葉を、私は相談の現場で何度も聞いてきました。そのたびに、必ず同じ質問を返します。
「そのホールディングスの株、いま誰が持っていますか?」
株主が先代のまま。あるいは現社長のまま。後継者には1株も移っていない。
読者の経営者からこんな質問をいただきました。
「では、実際にいくら変わるんですか? 自社株のほかに財産が1億円あって、子どもが2人いる場合で計算してください」
いい質問です。というより、これこそが本質です。財産が自社株だけで、相続人が1人——そんな会社はほぼ存在しません。
そこで、全部計算しました。速算表を叩いて、3代分。計算過程も全部この記事に載せます。
結論を先に言います。
単純比較では1億2,300万円の差が出ました。でも現実の条件を入れると、その差は1,046万円まで縮みました。そして、HD株を「現社長」が持つパターンは、ほとんど何の意味もありませんでした。
なぜそうなるのか。数字を一つずつ追っていきます。
0. この記事で答える3つの問い
HD株を①先代・②現社長・③後継者が持つ場合で、3代の相続税はいくら変わるか
「株を買った代金」を計算に入れると、その差はどうなるか
会社が成長する場合と、しない場合で、結論はどう変わるか
1. 前提条件——すべて開示します
まずは前提条件を
1-1. 数字の設定
事業会社(A社)の株式評価額 2億円
その他の財産(自宅・現預金など) 各代とも1億円
持株会社(HD) A社株を100%保有
資産・負債の増減 なし(第3部で成長ケースも検証)
相続人 各代とも子2人(配偶者なし)
基礎控除 3,000万円 + 600万円 × 2人 = 4,200万円
追う期間 先代 → 現社長 → 後継者 の3代
変数 HD株を誰が持っているか、それだけ
事業承継税制(納税猶予)・小規模宅地の特例・生命保険の非課税枠は、あえて使っていません。制度を足せば足すほど、「誰が株主か」という変数の効果が数字に埋もれてしまうからです。純粋な比較実験だと思ってください。
非上場株式の評価方法については、国税庁のタックスアンサーが基本になります(参照:国税庁 No.4638 取引相場のない株式の評価)。
1-2. 相続税の計算ルール(3ステップ)
相続税は、以下の3ステップで計算します。ここを理解しておかないと、この先の数字が追えません。
ステップ1:課税遺産総額を出す
財産総額 − 基礎控除(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数)
ステップ2:法定相続分で「仮に」分けて、それぞれに税率をかける
実際にどう分けたかに関係なく、法定相続分どおりに分けたと仮定して各人の税額を計算します。
ステップ3:足し戻す
各人の税額を合計したものが「相続税総額」。これを、実際の取得割合に応じて按分負担します。
相続税の速算表
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 控除額50万円
5,000万円以下 20% 控除額 200万円
1億円以下 30% 控除額 700万円
2億円以下 40% 控除額 1,700万円
3億円以下 45% 控除額 2,700万円
6億円以下 50% 控除額 4,200万円
6億円超 55% 控除額 7,200万円
1-3. 前提が変わって、何が起きるか
先に、地味だけれど重要な変化を2つ挙げておきます。
① 子2人になると、税額は下がる
基礎控除が3,600万円 → 4,200万円に増えるだけではありません。ステップ2で法定相続分に分散してから税率をかけるため、同じ財産額でも人数が多いほど低い税率が適用されます。
財産3億円の相続税総額は、子1人なら9,180万円。子2人なら6,920万円。 2,260万円も違います。
② その他財産1億円は、誰が持っていようが必ず課税される
ここが今回の隠れた主役です。HDをどう組み替えようと、自宅も預金も相続財産から消えません。 だから「3代の相続税ゼロ」は、最初から成立しないのです。
2. 【第1部】単純比較——名義だけを入れ替えると
まずは素朴なモデルから。「HD株の評価額は2億円のまま。持っている人だけを入れ替える」という思考実験です。
ケース① 先代がHD株を100%保有
これが「作っただけで終わったホールディングス」の姿です。
一次相続(先代 → 現社長)
先代の財産:HD株2億円 + その他1億円 = 3億円
ステップ1:3億円 − 4,200万円 = 課税遺産総額 2億5,800万円
ステップ2:法定相続分1/2ずつ → 各人 1億2,900万円
→ 1億2,900万円 × 40% − 1,700万円 = 3,460万円ステップ3:3,460万円 × 2人 = 相続税総額 6,920万円
二次相続(現社長 → 後継者)
現社長の財産:相続したHD株2億円 + 自身のその他1億円 = 3億円
計算は一次相続とまったく同じ → 相続税総額 6,920万円
3代合計:6,920万円 + 6,920万円 = 1億3,840万円
ケース② 現社長がHD株を100%保有
先代の相続では、HD株は課税対象になりません。
一次相続(先代 → 現社長)
先代の財産:その他1億円のみ
1億円 − 4,200万円 = 課税遺産総額 5,800万円
各人 2,900万円 × 15% − 50万円 = 385万円
385万円 × 2人 = 相続税総額 770万円
二次相続(現社長 → 後継者ら)
現社長の財産:HD株2億円 + その他1億円 = 3億円 → 6,920万円
3代合計:770万円 + 6,920万円 = 7,690万円
ケース③ 後継者がHD株を100%保有
先代の相続でも、現社長の相続でも、HD株は課税されません。
一次相続:先代の財産1億円 → 770万円
二次相続:現社長の財産1億円 → 770万円
3代合計:1,540万円
単純比較のまとめ
① HD株の保有者 先代 自社株の課税回数 2回 3代の相続税合計 1億3,840万円
② HD株の保有者 現社長 自社株の課税回数 1回 3代の相続税合計7,690万円
③ HD株の保有者 後継者 自社株の課税回数 0回 3代の相続税合計1,540万円
①と③の差、1億2,300万円。
①と②の差、6,150万円
「ほら、後継者に持たせるべきでしょう」——この数字だけを見せて持株会社化を提案する。これが世の中でよく行われている説明です。
そして、この説明には決定的な欠落があります。
3. 【第2部】現実の補正——「株を買った代金」はどこへ行ったのか
3-1. 後継者は、どうやってHD株を手に入れたのか
ケース③で、後継者はどうやって2億円分のHD株を持つに至ったのでしょうか。
タダで手に入るわけがありません。実務での定番はこうです。
後継者がHDを設立し、銀行から2億円を借り、先代からA社株を買い取る。
つまり、先代の手元には2億円の現金が入ります。
この2億円は、消えていません。姿を変えて、先代の相続財産に残っているのです。
3-2. まず、譲渡所得税がかかる
非上場株式を譲渡すると、譲渡所得に対して20.315%(所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5%)の申告分離課税がかかります。
譲渡代金:2億円
取得費:創業者なので、ほぼゼロとみなす
譲渡所得税:2億円 × 20.315% = 約4,063万円
先代の手残り現金:1億5,937万円
※取得費が不明な場合は「概算取得費」として譲渡代金の5%を使えます。それを適用すれば税額は約3,860万円まで下がりますが、大勢に影響しないため、ここでは取得費ゼロで計算しています。
3-3. 先代の相続——現金は課税される
先代の財産:現金1億5,937万円 + その他1億円 = 2億5,937万円
2億5,937万円 − 4,200万円 = 課税遺産総額 2億1,737万円
各人 1億868.5万円 × 40% − 1,700万円 = 2,647.4万円
× 2人 = 相続税総額 約5,295万円
税引後、子2人で折半すると、現社長の取り分は 1億321万円。
3-4. 現社長の相続——HD株の評価はゼロになる
ここが技術的なポイントです。
HDの貸借対照表を見てください。
資産:A社株 2億円
負債:銀行借入金 2億円
純資産:ゼロ
純資産価額方式で評価すれば、HD株の評価額はゼロです。
つまり——HD株を誰が持っていても、相続財産としては1円もカウントされない。
現社長の財産:HD株0円 + 自身のその他1億円 + 先代から相続した1億321万円 = 2億321万円
2億321万円 − 4,200万円 = 課税遺産総額 1億6,121万円
各人 8,060.5万円 × 30% − 700万円 = 1,718.15万円
× 2人 = 相続税総額 約3,436万円
3-5. 3代の税金、合計いくらか
先代の譲渡所得税 4,063万円
先代の相続税 5,295万円
現社長の相続税 3,436万円
合計 1億2,794万円
3-6. 単純比較と、並べてみる
①先代がHD株を保有 単純比較(第1部) 1億3,840万円 現実(第2部)1億3,840万円
③後継者がHD株を保有 単純比較(第1部) 1,540万円 現実(第2部)1億2,794万円
差 単純比較(第1部)1億2,300万円 現実(第2部) わずか1,046万円
1億2,300万円の差が、1,046万円に縮みました。
HDの設立コスト、毎年の申告料、銀行への支払利息。それを積み上げれば、差はほぼ消えます。
3-7. なぜこうなるのか
理由は、身も蓋もないほど単純です。
持株会社は「株を現金に変える装置」であって、財産を消す装置ではないからです。
先代の財産が「株2億円」から「現金1億5,937万円」に姿を変えただけ。総量は減っていない。むしろ、変換の途中で譲渡所得税を4,063万円払っているぶん、一時的にはむしろ減っている。
そして、その現金は先代の相続で課税され、残った分は現社長の相続でまた課税される。2回課税されるという構造は、株のままでも現金でも同じなのです。
4. 【発見①】ケース②とケース③が、まったく同じ金額になった
ここで、注意深い方は気づいたはずです。
第2部で、私はケース②(現社長がHD株を保有)の数字を出していません。出す必要がなかったからです。
計算すると、こうなります。
ケース②の3代合計:1億2,794万円。ケース③と、1円も違いません。
なぜか。現社長のHD株は、借入金2億円と相殺されて評価がゼロだからです。
ゼロのものを持っていても、持っていなくても、相続財産は変わらない。
つまり——成長がないという前提のもとでは、HD株を現社長が持とうが後継者が持とうが、税額は完全に同じ。
これは、かなり衝撃的な結論です。
「とりあえず社長名義でHDを作っておいて、株はおいおい息子に移せばいい」——そう考えている経営者は本当に多い。でも数字は、その"とりあえず"に、少なくとも税額の観点では意味がないことを示しています。
では、いつ意味が出てくるのか。次の章です。
5. 【第3部】成長を入れた瞬間、景色が一変する
ここまでの計算は、すべて「資産・負債の増減なし」という前提でした。成長ゼロ。
会社が伸びたら、どうなるか。現社長の相続時点でA社株が2億円 → 4億円になったとして、計算し直します。
ケース①(先代がHD株を保有)
一次相続:HD株2億円 + その他1億円 = 3億円 → 6,920万円
二次相続:HD株4億円 + その他1億円 = 5億円
5億円 − 4,200万円 = 課税遺産総額 4億5,800万円
各人 2億2,900万円 × 45% − 2,700万円 = 7,605万円
× 2人 = 1億5,210万円
3代合計:2億2,130万円
ケース②(現社長がHD株を保有)
現社長のHD株評価:A社株4億円 − 借入2億円 = 2億円(値上がり分がそのまま乗る)
現社長の財産:HD株2億円 + その他1億円 + 先代からの相続分1億321万円 = 4億321万円
4億321万円 − 4,200万円 = 課税遺産総額 3億6,121万円
各人 1億8,060.5万円 × 40% − 1,700万円 = 5,524.2万円
× 2人 = 1億1,048万円
3代合計:4,063万円 + 5,295万円 + 1億1,048万円 = 2億406万円
ケース③(後継者がHD株を保有)
値上がりした2億円分は、先代の相続にも、現社長の相続にも、一切乗りません。 HD株は最初から後継者の名義だからです。
3代合計:1億2,794万円(成長なしのときと同じ)
成長ありの比較表
①先代保有 成長なし1億3,840万円 成長あり(2億→4億)2億2,130万円
②現社長保有 成長なし1億2,794万円 成長あり(2億→4億)2億406万円
③後継者保有 成長なし1億2,794万円 成長あり(2億→4億)1億2,794万円
①と③の差 成長なし1,046万円 成長あり(2億→4億) 9,336万円
②と③の差 成長なし0円 成長あり(2億→4億)7,612万円
6. 【発見②】持株会社は「一代飛ばし」では効かない
この表を、もう一度よく見てください。
ケース②(現社長保有)は、ケース①(先代保有)とほとんど変わりません。 2億2,130万円 vs 2億406万円。差はわずか1,724万円。
HDを作り、先代から株を買い取り、銀行から2億円を借りて、毎年の申告料を払って——それだけのことをやって、節税効果は1,724万円。
なぜか。現社長が持っている限り、その現社長が亡くなるときに、値上がりした分がまとめて課税されるからです。
一方、ケース③は9,336万円の差を生んでいます。
持株会社は「一代飛ばし」では効かない。「二代飛ばし」で初めて効く。
これが、今回の計算から出た、いちばん重要な結論です。
7. 表に出てこない、3つの副作用
税額の比較だけでは見えない問題が、実務では必ず起きます。ここを説明しない提案書が、あまりにも多い。
7-1. 納税資金問題——ケース①の隠れた地雷
ケース①の一次相続を、もう一度見てください。
相続税総額6,920万円は、財産の取得割合で按分負担します。
現社長(HD株2億円を取得):6,920万円 × 2億/3億 = 4,613万円
次男(その他財産1億円を取得):6,920万円 × 1億/3億 = 2,307万円
次男は、現預金1億円のなかから2,307万円を払えます。問題ありません。
問題は現社長です。手に入れたのは、売ることも換金することもできない自社株2億円。そこから4,613万円の現金を、10か月以内に用意しなければならない。
自社株は「金額は大きいが、1円も生み出さない財産」です。この納税資金をどう作るか——ここを設計せずにHDを組んだ結果、相続後に会社が自社株買い(金庫株)をして資金を吐き出すことになる。会社の体力が削られます。
7-2. 遺留分——子2人だからこそ発生する問題
子2人の場合、それぞれの遺留分は法定相続分1/2 × 1/2 = 財産の1/4です。
財産3億円なら、次男の遺留分は7,500万円。今回のモデルでは次男がその他財産1億円を取得しているので、7,500万円をクリアしています。ギリギリですが、成立している。
では、もしその他財産が1億円ではなく3,000万円しかなかったら?
次男の取得は3,000万円。遺留分(2億3,000万円 × 1/4 = 5,750万円)に足りない。後継者は、次男に2,750万円の代償金を現金で払う義務を負います。
「自社株のほかに1億円ある」というのは、実は遺留分がぎりぎり成立するための命綱でもあったのです。中小企業庁も、親族内承継では「後継者への株式の集中」と「後継者以外の相続人への配慮」の両立が必要だと明記しています(参照:中小企業庁 事業承継ガイドライン)。
7-3. 借入返済が進むと、HD株の評価は「復活」する
第2部で、HD株の評価はゼロだと計算しました。資産2億円 − 負債2億円 = 0だからです。
でも、この借入は返済されます。HDはA社から配当を受け取り、それを返済に充てる。しかも完全子法人からの配当は益金不算入なので、HDには法人税がかからない——だから返済原資として効率がいい。
問題は、返済が進むほどHDの負債が減り、純資産が増えるということです。
10年かけて2億円を完済すれば、HDの純資産はゼロから2億円へ復活します。
ケース②(現社長保有):現社長の相続財産が、10年かけて2億円増えていく。効果が時間とともに失われる。
ケース③(後継者保有):後継者名義なので、いくら評価が上がっても相続課税とは無関係。
時間が経つほど、②と③の差は開いていく。 これも、②を選んではいけない理由の一つです。
8. 現場で聞く「とりあえず社長名義で」という言葉
相談の現場で、私は何度もこの言葉を聞きました。
「HDは、とりあえず私(社長)の名義で作りました。息子はまだ若いので」
「株の移転は、息子が一人前になってから考えます」
気持ちは、痛いほどわかります。20代の息子に2億円分の株を持たせるのは怖い。経営者としての適性もまだ見えない。会社を潰されたくない。
でも、数字はこう言っています。
「とりあえず社長名義」は、承継対策としては、ほぼ何もしていないのと同じです。
しかも、時間が経つほど不利になります。会社が成長すれば株価は上がる。株価が上がってから移そうとすれば、移転コスト(贈与税・譲渡所得税)も一緒に上がる。
「息子が一人前になってから」——その頃には、移すのに数千万円かかる財産になっている。
これが、事業承継が「先送りするほど高くつく」と言われる正体です。
(※守秘のため、事例の細部は変更しています)
9. では、どう組めばいいのか——3つのアプローチ
9-1. 議決権と財産権を、分けて考える
「息子に株を持たせるのが怖い」の正体は、たいてい経営権を渡すのが怖いであって、財産を渡すのが怖いのではありません。
だったら、分ければいい。
無議決権株式や属人的株式を使えば、財産権だけ先に後継者へ移し、議決権は現社長に残すことができます。会社の支配権は1ミリも動かさずに、値上がり益だけを次世代の箱に閉じ込められる。
この選択肢を知らないまま「まだ早い」と先送りしている経営者が、本当に多い。
9-2. 「対価の現金」を溶かす設計を、セットで組む
第2部で見たとおり、HDを作っても対価の現金が相続財産として残り続けます。ここを解かないと、HDを作った意味は半減します。
現金を減らす道具は、HDとはまったく別物です。
役員退職金:法人側は損金、個人側は退職所得控除 + 1/2課税。同じ金額を動かすなら、これがいちばん効率的
生前贈与:年単位の積み上げ。時間を味方にする
生命保険の非課税枠:500万円 × 法定相続人数。現金を「非課税の財産」に変換できる数少ない手段
HDは現金を作る装置。それを減らすのは、別の道具です。 両方セットで初めて意味を持ちます。
9-3. そもそも、HDを使わない選択肢
事業承継税制(納税猶予)。あるいは、役員退職金の支給で株価を一時的に下げ、そのタイミングで生前贈与する。
器を作らずに、中身だけを動かすアプローチです。
意外に思われるかもしれませんが、私が最終的にこれを提案することは少なくありません。手続きが軽く、否認リスクが低く、そして何より社長本人が自分で理解できるからです。
理解できない対策は、続きません。続かない対策は、対策ではない。
10. ただし、これはあくまで一例です
今回の試算は、前提をかなり単純化しています。状況によっては、まったく逆の結論が正解になるケースもあります。
配偶者がいる場合:配偶者の税額軽減(1億6,000万円まで非課税)が効くため、一次相続の負担は劇的に変わります。今回は配偶者なしという、最もシビアな条件で計算しました。
HDに含み益がある場合:純資産価額方式では含み益の37%が控除されるため、HD株の評価はさらに下がります。今回は考慮していません。
株式保有特定会社に該当する場合:HDの資産のほとんどが株式だと、類似業種比準方式が使えず、評価がかえって高く出ることがあります。「HDにすれば株価が下がる」は、常に正しいわけではありません。
急成長中の会社の場合:第3部で見たとおり、成長があるならケース③は億単位で効きます。「うちは伸びない」と決めつけるのも、また危険です。
経済合理性がない場合:評価引き下げだけを目的としたスキームは、租税回避行為として否認されるリスクがあります。「なぜこの再編が必要だったのか」を事業の言葉で説明できないなら、やめたほうがいい。
「自分の会社はどちらのパターンに近いのか」——それを判断するには、一般論ではなく、あなたの会社の別表二(同族会社等の判定に関する明細書)と決算書、そしてこれからの5年の事業計画を、3つ並べて見る必要があります。
気になる方は、LINEから気軽にご相談ください。
まとめ
① 単純比較(名義だけを入れ替える)
①先代保有:1億3,840万円 / ②現社長保有:7,690万円 / ③後継者保有:1,540万円
差は1億2,300万円
② 現実の補正(株を買った代金を追いかける)
①1億3,840万円 vs ③1億2,794万円 → 差はわずか1,046万円
しかも②と③は完全に同額。借入でHD株の評価がゼロになるから
持株会社は「株を現金に変える装置」であって、財産を消す装置ではない
③ 成長を入れると豹変する
①2億2,130万円 / ②2億406万円 / ③1億2,794万円
②はほとんど効かない(①との差は1,724万円だけ)
効くのは③だけ。持株会社は「一代飛ばし」では効かない。「二代飛ばし」で初めて効く
持株会社を検討している経営者のあなたに、最後に2つだけ聞かせてください。
あなたの会社は、これから伸びますか?(伸びないなら、HDを作る理由はほとんどありません)
そして——提案書に「先代が受け取る対価は、その後どうなるか」というページは、ありましたか?
無料相談・お役立ち情報はこちら
📩 公式LINE(法人・経営者向け)
👉 https://lin.ee/Bt0EtlU
LINE登録で、PDF特典 『防衛戦術書』 をプレゼント中。
主な内容:
😁 採用・定着に効果絶大!給与を上げずに「手取り」を増やす方法
社会保険料や税金の仕組みを利用し、会社のコストを下げながら社員の可処分所得を月3万円増やす「借り上げ社宅」や「旅費規定」の活用術を解説します。
💰 銀行が「貸させてください」と頭を下げる財務諸表の改善策
AI審査によるスコアリングを攻略し、債務償還年数を「10年以内」に整えるための具体的な決算書整形テクニックを公開します。
🧱 社長と会社のお金の「黄金比率」:税率の壁を超える合法的な方法
個人(最大約55%)と法人(約30%)の税率差を活かし、将来の「退職金」や「一時所得」を見据えてキャッシュを最大化させるロジックを伝授します。
🛡️ 会社を死なせない「防衛資金」の作り方
「月商6ヶ月分」の現預金確保を目標に、経営セーフティ共済を資産計上して銀行格付けを維持しながら、簿外資産を積み上げる裏技を詳解します。
📸 Instagram(筋トレ写真や家族写真などをストーリーであげています)
👉 https://www.instagram.com/fp_matsuyama_osaka/?hl=ja
🐦 X(旧Twitter)(税制改正、手取りを増やすヒントなど最新情報の発信はこちらから)
👉 https://x.com/ZWLndUd3oVWQPze
※本記事の試算は、記載の前提条件に基づく単純化されたモデルです。実際の税額は財産構成・相続人・適用制度・評価方法により大きく異なります。個別の税務判断については、必ず顧問税理士等の専門家にご確認ください。
