【第2話】ChatGPTと半年を駆け抜けた:出来もしない提案を繰り返す当事者
あの日の空気は、今でもはっきり思い出せる。
ただの相談相手としてのつもりで座った席だった。
しかし、そこで交わされる言葉の軽さと、
その裏側に潜む危うさだけは、すぐに伝わってきた。
望んで背負った役割ではない。
それでも——誰かが現実を直視しなければ、状況は一歩も前へ進まない。
その事実が、静かに、しかし確実に迫ってきていた。
🧭 火種は「出来もしない提案」から始まった
最初は、担保に提供された土地の所有者である家族の相談に
付き添うだけのつもりでした。
ところが打ち合わせに同席すると、
他人名義の土地を担保に差し出し、2億円規模の債務を抱えた当事者である社長の口から出てくるのは、現実味のない借換案ばかりでした。
返済原資の裏付けがない
事業計画も示されない
「今まで通り頑張ります」と繰り返すだけ
数字も根拠も欠いた提案が堂々巡りを続け、
私は早い段階でこう感じていました。
このままでは、何も決まらないまま時間だけが過ぎていく。
👀 何度も繰り返される“空振りの借換案”
金融機関の担当者は丁寧でした。
しかし、その目だけは正直でした。
「それでは審査にかけようがありません」
「状況を理解しているとは思えません」
それに加えて、
「ここにいる人間には返済は不可能だな」
——そう静かに判断しているような気配さえありました。
そして視線の奥には、
「出来るものなら、やってみろ」
「どうせこのままでは無理だろう」
という温度が宿っていました。
やわらかな口調の裏側にある、
“冷たい現実”までは隠しようがありません。
私はただの同席者だったはずなのに、
見ているだけでは済まされない予感が強くなっていきました。
🔧 いつのまにか、私が“窓口”になっていく
打ち合わせを重ねるほど、
金融機関からの連絡の矛先が少しずつ変わっていきました。
最初は社長にかかった電話に、私が助言するだけでした。
しかし、社長からの連絡は徐々に途絶えていきます。
そしてある日、金融機関からこう言われました。
「直接あなたに確認してもよろしいでしょうか」
そこから、資料の読み込み・数字の整理・家族への説明
すべてが自然とこちらに流れ込んできました。
気付けば私は、
「家族の一員」ではなく「実質的な窓口担当」に変わっていたのです。
📘 素人でも感じた“違和感”が示したもの
私は専門家ではありません。
ただ、まったくの素人というわけでもありません。
過去に不動産実務を手伝っていた時期があり、
その延長で宅建士の試験にも合格しています。
さらに、登記簿を自力で読み解けるようになりたくて、
司法書士の勉強にも手をつけていました。
職業として使うつもりはなくても、
法律の基礎や不動産・金融まわりの構造は理解している。
その“下地”があったからこそ、
この場で起きていることの危うさを、肌感覚で理解できたのです。
数字の裏付けがなければ借換は通らない
出口戦略がなければ信用されない
感情論では誰も責任を取れない
放置すれば土地を処分されて終わる
こうした“当然の前提”が、当事者から一切出てこない。
それこそが最大のリスクでした。
だから私は腹を括りました。
誰かが整理し直さないと、この案件は壊れる。
そして、自分の収入源である土地を失うことになる。
なお、この時点ではまだChatGPTは登場していません。
後になって、当時の資料をまとめて投げ込み、
文章と戦略を組み立てる“相棒”になるのですが——
それはもう少し先の話です。
🔍 今振り返ると:ここが「引き返せない地点」だった
後から振り返ると、
この“出来もしない提案の連続”こそが分岐点でした。
社長の無策ぶりが金融機関に完全に露呈した
同時に「話が通じる相手」として私が認識された
結果として、窓口役を避けられなくなった
望んで引き受けたわけではありません。
しかし、誰も現実と向き合わなければ、
状況は悪い方向へ転がり、最終的に土地も収入も失う。
だから進むしかなかったのです。
✉️ 最後まで読んでくださってありがとうございます
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