見出し画像

ムンクの『叫び』のようにー禁煙後の私

 タバコをやめて間もなく7年になる。
 
 もうすっかりタバコのことを忘れてしまったかといえば、実はまだ吸いたい。

 タバコを思いっきり愉しむ夢をたまに見る。

 それでも7年も経てば,随分楽にはなった。

 
 やめる時は七転八倒の悲惨な日々だったのを覚えている。

 当時私はかなりのベビースモーカーで、何度禁煙に失敗したか分からない。

 医院の禁煙外来にも2回通って、2回とも失敗した。その時は3度目の正直という気持ちで通った。

 それこそ、ムンクの「叫び」のように、あるいはエゴン・シーレの絵のように、自分が変形してしまうのではないかと思うくらい苦しかった。

 仕事中も、仕事が終わって一息つく時も、喫茶店で休んでいる時も、誇張なしに頭が変になりそうだった。

 しかしある時を境に、それが和らいできた時は、本当に嬉しかった。
 我慢の度合いが、少しずつ小さくなってきた。
 タバコを忘れている時間が増えてきた。
 そうして吸いたいという欲求は薄れてきて、今に至っている。

 だけどこうして書いているだけで、タバコが吸いたくなる。未だに。

 しかし、なんかおかしいと感じているのは私だけではないだろう。

 昔は、西部劇でも、フィルム・ノワールでも、タバコを吸わないヒーローなんていなかった。

 タバコはカッコよく、できる男の証みたいなものだったのだ。

 それがある時から、嫌われ、邪魔者にされ、タバコを吸える場所さえ殆どなくなってしまった。

 タバコそのものが変わったわけではない。

 私のタバコを愛する気持ちも変わっていない。

 社会の価値観が、劇的に変化したのだ。

 それをなんかおかしいと思いながら、とにかく私はタバコをやめた。

 でも実は、歳をとって、死期が迫ったと分かった時は、仇を取るように思いっきりタバコを吸ってやろうと、今から密かに企んでいる。



いいなと思ったら応援しよう!