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snafu_2020
詩 秋空は流れ
空が青い。
秋になって、空の色が凜としてきた。
夏空のようなぎらぎらした輝きはなく、大人びた、凜とした色で、頭上に広がっている。
そこを、薄い雲が流れていく。
繊細な帯状の雲の流れが煙のようになって空を流れていく。
流れはゆったりとしていて、雲に引きずられて空そのものが流れているかのようだ。
せせらぎの音が流れてくる。
段状になった斜面を川が緩やかに流れ、こぼこぼと音を立て続ける。
空を流れていく雲の流れも、その音によって一層滑らかになっていきそうだ。
ただぼんやりと、秋空が流れていくのを眺めていた。
自分が今まで失ってきたものについて、考え始める。
確かに、失ってしまった。失われたものは、葬式の時に立ち上る煙のように、重みなく空へと昇っていき、やがて消えていく気がする。
そうして自分は、今までの自分にあったはずの可能性を、一つずつ失っていき、やがて、凜とした青を張った空をただ眺めている自分が、そこにあるだけだ。
若気のようなものもだんだんなくなっていき、緩やかに流れていきながらも、静かに動じることなくただそこにある、空のように、なってしまった。
成熟とは喪失という言葉を思い出す。
自分は一つ失う度に、一つ、人間になった。そしてまた一つと、次々に失い、そしてだんだんと、人間になった。
そんな人間が、空のような心で、秋空を眺めている。清々しい。
失うことは悲しいが、歳を取って生まれ変わる人間の心にだって、瑞々しいものがあるはずだ。
とはいえ、自分はまだ老人でもないが。
