堤剛さんとシュタルケル先生

魂が揺さぶられる演奏、
堤剛さんは人生をチェロに捧げてきた。
そう言ってなんの不思議もない。
重厚でざらつきさえある太く響く音。

堤さんのチェロは1733年に作られた
モンタニャーナ、無骨で肩が張っている。
レストランでもトイレでも一緒のつれあい。
堤さんが憧れたフォイアマンと同じチェロ。

モンタニャーナは堤さんが憧れてきた
チェロの名手、フォイアマンの愛器。
子供の頃からフォイアマンの豪快な音、
この音が好きでずっと目指してきた。

堤さんのその前のチェロはゴフリラー、
カザルスが愛したこれまた太い音を奏でる。
堤さんの師であるシュタルケル先生は
このゴフリラーが作ったチェロを使っていた。

先日シュタルケル先生が得意としていた
先生と同じ国で生まれたゴダーイの
無伴奏チェロソナタをじっくり聴いた。
太く厚く豪快な音が部屋に木霊するほど。

それは弟子である堤さんの音に酷似していた。
チェロはゴフリラーとモンタニャーナと違うのに、
解き放たれる音はなぜにこうも似ているのか。
師と弟子とはこういうものなのかと感服。
どちらもストラド型とは異なる男性的な形状、
だからこそ僕が好きな筋骨隆々の音になるのだろう。