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shuheisasaoka
5月18日 屋内登山の日曜日
日曜日は、布表紙の製本からスタート。まずは寸法を割り出し、「これでいけるか?」と束見本を製作。よーし、ぴったり、いい感じ。作業続行だ。
今日の耳のお供は、第171回芥川賞を受賞した松永K三蔵さんの小説『バリ山行』。バリエーション登山を題材にした物語だ。
はじめて本格的にアルバイトをしたのは、高校2年生のとき。
登山用品を扱うアウトドアショップだった。
学校が終わると夕方からシフトに入り、土日祝日は朝から晩まで働いた。
なにせ、楽しかったのだ。
お店には、山を愛するちょっと変わったお客さんたちが、毎日のようにやって来た。定休日には、キャンプにクライミング、クロスカントリースキーと、いろいろ連れていってもらった。
当時の私は、学校よりもバイト先に入り浸っていたかもしれない。
「もう少し大人になったら、自分で稼いだお金で、こんなふうに自由で面白い冒険ができるんだ!」と、わくわくしていた。
今日の私は、静かな部屋で、登山小説を聴きながら紙を切り、チップボールに布を貼り、本を綴じていた。
気持ちだけは小説の主人公たちと一緒に藪を漕ぎながら。
そんな作業の合間に、「はて?今の自分らしいバリエーションルートって、なんだろう?」と考えたりして。毎日がバリエーションだよなあ。
あれから時が経ち、いろんなルートを経て、私はこの道を選び、歩き続けている。
今も昔も、わくわくしていることに変わりはないけれど、
あの頃のわたしは、「未来のワタシ」はもう少し落ち着いた暮らしをしていると思っていた。
予想は、外れたみたいだけれど、
今の生活も気に入ってるよ。
高校生の頃のわたしにそう伝えたい。


