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尾田剛樹について

ヤクルト戦3連勝に続き、天敵・東を撃破。この上ない上昇気流に乗ったかに思われたが、4/29の横浜DeNAとの一戦は、投打ともにチグハグな部分もあり敗戦。連勝は「4」で止まった。

連勝はいつかは止まるものであり、現時点は「痛恨の1敗」とまで考える必要はないだろう。それよりも、借金を多く重ねている現状のドラゴンズの立場からすると、肝要なのは「連敗しない事」だ。その意味で4/30の一戦は何としても勝ちたいところ。ただ、既に中日ファンの間では悲観論が噴出している。確かに後味の悪い負け方であったのは事実だが。そして、その中心で槍玉に挙がっているのは、またしてもと言うべきか、尾田剛樹選手だ。

1. まずは、敗因を冷静に

4/29の試合は先手を取るも直ぐにリードを吐き出し、最終的には追い抜かれると言う展開。先発の櫻井頼之介は9奪三振はしたものの、敗戦の主要因という烙印は避けられないだろう。特に勝ち越し後の5回表、先頭打者にストレートの四球は非常にイメージが悪い。ただ、最終回のドラゴンズの攻撃があまりにも杜撰であった事から、巷では尾田剛樹があたかも戦犯のように扱われている

最終回のドラゴンズの攻撃。2点のビハインドから先頭の細川成也が2ベース、ジェイソン・ボスラーが続いて無死1・3塁。一塁ランナーはボスラーから代走の尾田剛樹に代わった。続く鵜飼航丞は右飛を放つも、細川はタッチアップをせずに得点ならず。ここで疑問の声を上げる方も居るが、個人的には2点差のこの場面、無理をして1点を奪ったところで負けている状況は変わらない為、特に問題は感じない。ホーム送球の間に尾田が2塁を陥れる等のチャンスが生まれれば別だが、さすがに横浜も同点のランナーとなる尾田へのケアを怠るような真似はしないだろう。

問題は、次の場面。次打者・村松開人の0ボール1ストライクからの2球目、1塁ランナーの尾田剛樹が盗塁を仕掛ける。しかし横浜バッテリーはピッチアウトし、尾田は二塁ベース手前で悠々とアウト。同点のランナーを失ったことで、勝利への道は大きく閉ざされる事となった。過去にも守備や走塁での失敗を積み重ね、既に多くのファンからヘイトを買っていた尾田剛樹は、このプレーにより更なる叱責を受ける形となった訳である。

2. 「盗塁死の責任者」は誰なのか

この場面、試合後の井上監督のコメントから察するに、大前提として「尾田剛樹にはグリーンライト、即ち『ベンチの判断でなく、自身の判断で盗塁OK』という指示が出ていた」と思われる。つまり、尾田が盗塁を仕掛ける事自体は、何の問題もない。この前提で話を進めるが、ピッチアウトをするくらいなので、横浜バッテリーとしても盗塁を警戒する場面ではあった

・中日としては、併殺打のリスクを解消させたい
・1塁には、わざわざ「脚の切り札」を代走で起用
・連打が出る可能性と、盗塁+単打で同点に追いつく可能性の比較
・鵜飼が倒れ、次打者は鵜飼よりも長打力では劣る村松
・初球ストライクからの2球目で、ボールを投げる余裕はある

これら全ての条件から、ピッチアウトはある程度中日側にも「想定された」場面ではあった。問題視されているのは、まさにこの部分だろう。「グリーンライトとは言え、何故このシチュエーションで走ってしまったのか」。相手バッテリーとしては逆転のランナーを出すことは避けたい訳で、仕掛けるのであればボール先行、もしくは2ボール2ストライクの状況ではなかったのか、という論法だろう。この点に関しては、確かに尾田に非がある。緊張感の漂うギリギリの状況ではあったが、冷静にリスクを最小化させるべく場面の分析が出来ていたのか。責められても致し方ないとは言えるだろう。

ただ、試合後に井上監督はベンチの指示が徹底していなかった点は認めつつも、「もう少し状況を考えて欲しかった」とコメント。試合直後の興奮冷めやらぬ中、思わず正直な想いを吐露してしまった可能性もあるが、個人的にはこの発言が一番問題だと考える。確かに尾田の判断ミスではあるものの、「グリーンライト」で尾田に権限移譲をしていたのは首脳陣ではないか。にも関わらず、僅かでも尾田に非があるような発言を井上監督がすることは、絶対におかしい。今回のケース、責任は間違いなく井上監督自身にある

少し攻撃的になってしまったが、こう思うのは遡る事4日前、尾田を昇格させたという判断をしたときに、個人的にも思う部分があったからだ。

3. 尾田昇格の是非

4/25に、首脳陣は尾田剛樹を1軍に昇格させた。そもそも開幕1軍を勝ち取っていた尾田だが、4/10の阪神戦で逆転に繋がる守備ミスを犯し、翌日の4/11に登録抹消。昨季も走塁・守備面で何度もミスをし、4/10の阪神戦でもミス。ファンの怒りも頂点に達していた段階で、この判断はリーズナブルだったと言えるだろう。降格後、尾田は2軍で打率.241、HR0本、OPS.641。ミスを再発してしまったショックからか、昨季は2軍で首位打者まで獲得した打棒は薄れ、低空飛行が続いていた。

その尾田を、前日に村松が逆転スリーランを決めて連敗をストップ、さぁここから巻き返しと意気巻いていた4/25に再昇格。まずここが、共感を得られないポイントではあるだろう。ようやく流れを変えられるというタイミングで、「この時点では」という注釈は付けさせていただくが、雰囲気を下げこそすれ、上げる事はないと思われる尾田をなぜ昇格させるのか。個人的にも、この公示を知った当初は強く反発を抱いた。

ただ、冷静に考えると、この昇格にもそれなりの理屈はある。それは、言わずもがなだが中日の故障禍。外野手が集中的に離脱した結果、中日には特にセンターが壊滅的な状況にある。

上記はセンター「経験者」の一覧。元々、絶対的なレギュラーである岡林勇希が君臨する事から、センターは手薄だった。そこから岡林・花田・樋口が離脱。育成の三上も離脱した事で、2軍は高卒ルーキーの能戸輝夢や、そもそも昨季まではまともに守備につく事もなかった福元悠真が対応している状況だ。ブライト健太も、正式発表は無いが最近試合に出ていない為、ケガの噂もある。そんな緊急事態の中で大島洋平が踏ん張ってくれているものの、さすがに40歳のベテランをスタメンで使い続けるにも限界があるだろう。かつ、その大島が試合中に負傷で緊急離脱する可能性も捨て切れない。センターの補充は、絶対に必要だった

土田龍空や、最近では辻本倫太郎にセンターの経験を積ませているものの、ただでさえボスラーなど本職ではないメンバーで凌いでいる中で、更に急造選手を加える事は心許ない。また、今季は細川成也の守備指標も非常に悪く、ここへのサポートも必要。ただここに板山なりを充てると、今度は代打が居なくなる…尾田が必要な理由は、いくらでもある。結論、個人的には冷静に考え直した結果、尾田の昇格は妥当と理解している

話を本日の試合に戻す。9回無死一三塁の場面。代走のチョイスは尾田の他には、知野直人と土田龍空。単純な走力を比較して、尾田の起用は間違いでもないだろう。ただ、断言したいのは「グリーンライトは消すべきだった」。そもそも昨季から続く批判や叱責が拭い去れていない中で、上記の事情から「無理矢理に」昇格させた事を考えても、尾田がこのような緊張感の高い場面で、まともな精神状態では居られないという事は、首脳陣は配慮するべきではなかったのか。選手とのコミュニケーションの高さを自負する井上監督であれば、尚更。そこにケアをせず、あまつさえ選手批判とも受け取られかねない発言をする事は、個人的には納得できない。

4. 問題は、今回の盗塁死だけではない

長くなってしまったが、センター事情で言うと、今回の件以上に大きな問題がある。岡林の代役として頑張ってくれた大島だが、本日時点で4試合連続ヒットなし。打率も.225に急降下してしまった。年齢的にもさすがに疲れが出始めたかと感じるが、今週は移動日なしの9連戦が続く。大島頼りの起用にも限界が来ている。首脳陣は、ここにどのような一手を打つのか。それでも大島を使い続けるという「型に嵌まった」無策を繰り返すのか。個人的には、「センター鵜飼のファイヤーフォーメーション」を試すしかないと考えるが、如何だろうか。

ようやく巻き返しと思われた矢先に、新たに生じた火種。まさしく「一寸先は闇」というシーズンの厳しさを感じずにはいられない。岡林は今週から試合復帰との話もあるが、そこから1軍に昇格するまで、どのように乗り越えるか。そして、傷心の尾田剛樹にどのようなケアをするのか。首脳陣の一手が、4連勝の流れを反転させるような愚策でないことを、祈らずにはいられない。

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