「2番・鵜飼」は適正なのか
ようやくではあるが、ついにアウェイで今季初のカード勝ち越しだ。交流戦明け最初のカードである東京Dでの巨人戦。初戦と3戦目を制し、まずはリーグ再開後に好スタートを切った。
1. 今季初のアウェイ勝ち越しを生んだ要因
2つの試合を制した要因は、何と言っても勝ちパの安定感だろう。初戦は3-2と1点リードの7回から、橋本侑樹ー吉田聖弥ー松山晋也のリレーで逃げ切り。3戦目は、3点差を逆転した8回の裏から吉田ー松山の継投で逃げ切った。ともにシーズン序盤の状況を考えると、逆転されてたであろう展開。胃が痛むような場面を切り抜けて掴み取る勝利は、さながら「常勝」と呼ばれた落合ドラゴンズの勝ち方のようだ。2戦目のウィットリーに手も足も出なかったように、相変わらず右の本格派に対応できないという致命的な弱点は克服できないままだが、それでも交流戦快走の巨人にアウェイで勝ち越しは誇れるべき結果だろう。
個人的に安堵したのは、敗れた2戦目、1点差の9回で橋本・吉田を選択しなかった事。交流戦終盤の後先考えぬ起用から、ようやく首脳陣も落ち着いたのか。「ここから巻き返し」と口では言いつつも、既に期待すべき結果を得る事は難しい今シーズン。このような状況で現実を見ると、やはり中継ぎ投手の使い減りには注意頂きたい。その意味で言うと、アルベルト・アブレウが復帰登板で好投を見せた事も好材料だ。ビハインドや同点シチュエーションで、こういった選手にドンドン投げて貰い起用の分散化を図る事も、必要だと思う。
2. 鵜飼バントに対するブーイング
大逆転となった3戦目。最も中日応援席が盛り上がったのは勿論逆転した8回表の攻撃であるが、別でもう一つ盛り上がる場面があった。9回表、先頭の岡林勇希が出塁して無死一塁で2番・鵜飼航丞。ここでベンチは鵜飼にバントを指示。初球はバントの構えから見送り。2球目はバント失敗。3球目は、バントの構えからバスターで空振り三振。この場面で、中日応援団がひしめくレフトスタンドから大きなブーイングが起こった。
まず戦術的に言うと、9回裏に絶対的守護神の松山晋也が控えているとは言え、今季幾度となく繰り返された逆転負けは首脳陣にもトラウマとなっているはずで、1点差では心許ないという心理状態は充分に理解できる。確実に追加点を取りに行く作戦は、理に適っていると言えるだろう。それでもブーイングが起こった背景は、そもそも鬱屈と積み重なっている首脳陣への不信が根底にあるとして、ファンが鵜飼航丞に望んでいるのはそのような姿ではない事。また、2ストライクからのバスターは果たして意味があったのか、という事だろう。
不信感の直接的な要因は、直近で言うとフォレスト・ウィットリーに封じられた2戦目と思われる。初戦は序盤から竹丸和幸を攻略。中盤以降は打線に快音が聞こえなかったものの、序盤で点を積み重ねたという事実は、「打線は機能した」という印象を見る側に植え付ける。そこから2戦目は、スタメンを大幅に変えて1安打完封負け。「打順をコロコロ変えるから負けた」。直接的な原因かどうかはともかくとして、これは左右病と並びファンからヘイトを受けやすい常套手段だ。そこに何かしらの根拠が見えるのであれば、話は別だが。
繰り返すが、個人的には件の場面で、バントというチョイスは理解できる。もし鵜飼に打たせてダブルプレーとなれば、それこそ試合の流れが相手に渡りかねない状況だ。実際に、この試合の初回。同じく無死一塁の場面で、鵜飼は併殺打を放ってしまっていた。かつ、この日の鵜飼は9回の時点で4タコ。ネガティブな印象を持たれるのも致し方のないところだろう。ただ鵜飼は通算成績でもバントの実績はゼロ。であれば、例えば龍空辺りをピンチバンターとして起用しても…とも思うが、それこそファンの怒りを増長させる采配となるだろうか。難しいところだ。
3. 鵜飼の2番起用に今一度再考を
つまるところ、個人的には「鵜飼を2番に置くことが正しかったのか」という点にフォーカスすべきと考える。仮にこれが下位打線に置かれている鵜飼であれば、強攻策でゲッツーでも、ピンチバンターへの変更でも、それほど不評を買う事は無かったのではないだろうか。ただこの試合での鵜飼は2番。「後ろに期待値の高いクリーンナップが控えている状況」という事がポイントだ。
MLBで提唱された「2番最強説」に端を発する昨今のトレンド。そもそも「2番最強説」に従うのであれば中日の場合は細川成也を置くべきだが、現状は「チーム最強打者」と言うよりは、「高い攻撃力でクリーンナップへと繋ぐ」という点に主眼を置いたスタンスになっている。中日と言うか、むしろ現状の野球界全体で見てもこのスタンスが主流ではないだろうか。個人的にも、「2番最強説」よりもこちらの方が合理性があると感じる。主軸は走者を置いた状態で迎えたい。ただし期待値の高い打者の間にそうではない選手を入れて、わざわざ繋がりを失くすような形を作るのは意味が無いと考えているため、従来の小技を重視した2番ではなく、高い攻撃力を持った打者を2番に据えて欲しい。
鵜飼を2番で使い始めたのは、交流戦5カード目のロッテ戦。前週まで2番で起用していた福永裕基の調子が下降気味の中、アンドレ・ジャクソン先発のロッテ初戦で田中幹也が使われた後、毛利海大が登板の2戦目に2番起用。ここでサイクル未遂となる3安打1HR5打点の大活躍。以降、福島蓮が先発した日ハム2戦目と、ウィットリーが先発した巨人2戦目以外は、鵜飼が2番打者に起用されている。日ハム3戦目の対古林でも2番起用されたのでグレーな部分はあるが、それ以外の鵜飼が2番で起用された際の相手投手は、ロッテ・毛利と小島、日ハム・細野、巨人・竹丸と井上。左に当てて来ているのは明白で、逆に言うと右投手に対する鵜飼の信用度は、首脳陣的にはそれほど高くないと言える。
そして、問題の巨人3戦目。9回無死一塁の場面、相手投手は右の田和廉に代わっていた。前述の「何としてもゲッツーを避け、追加点を狙いたい」という思考からすると、バント指示は一貫性はある。ロッテ戦・日ハム戦と結果を残した鵜飼であったが、同一リーグとの対戦に戻った巨人戦は、総じて厳しい内容だった。交流戦後に本人も話していたように「ゾーン内で勝負してくれるパリーグの方が、与しやすい」という理由によるものなのか。…自分の弱点をわざわざ晒すのも、どうかと思うが。
以上の考察から、
「バント指示は理解できる。ただ鵜飼航丞の2番起用は再考が必要」
が、個人的な結論。ロッテ戦や日ハム戦では結果を残しており、完全に的外れな策とは言わないが、現状の鵜飼の状態、また元々が「博打性の高い打者」という特性を考慮すると、2番にはもっと確実性の高い打者を据えて頂きたい。では、誰が適任なのか。
4. 個人的には、「2番・板山祐太郎」を推す

個人的には、板山祐太郎を推す。上記が現状の主な1軍野手成績となるが、「左右を苦にしない」「高い出塁率」「優秀なOPS」と、文句のない内容だ。今季これだけのパフォーマンスを見せる選手が、内外野可能なユーテリティプレイヤー。最大活用する以外の手が、あるのだろうか。

先月末にも一度打順考察を行ったが、各選手の最新状態も加味し、再考した打順が上記。板山は左右関わらず2番固定。鵜飼は対左投手の際に起用。阿部寿樹はやはり代打で残しておきたいので、そうなると対右投手の場合は、石川昂弥と並ぶホットコーナーのもう1角として、結果は出ていないがミゲル・サノーか福永裕基は使わざるを得ない。場合によっては板山のセカンド起用も考えられるが、2番で使う以上は打撃に集中させるため、複数ポジションの起用は最低限にすべきか。
5. 「上昇気流」を維持できるか
リーグ再開後のアウェイカードを勝ち越せた事は、間違いなく好材料。中継ぎが好投し、「勝てる試合」をしっかりと拾えた事も好材料。この流れを手放さず、首脳陣には説得力のある起用を検討いただくことを、強く願う。
最後に、今週の先発予想と星取り希望。
6/23: 〇中日(マラー) - ×横浜DeNA(入江)
6/24: ×中日(櫻井) - 〇横浜DeNA(東)
6/25: 〇中日(涌井) - ×横浜DeNA(島田)
6/26: 〇中日(金丸) - ×ヤクルト(吉村)
6/27: ×中日(大野) - 〇ヤクルト(松本健)
6/28: 〇中日(柳) - ×ヤクルト(高橋)
中西聖輝は一軍練習に合流。ただ大野雄大を抹消させておらず、少し意図が分からない。6/25か6/27は中西起用の可能性もあるのだろうか。横浜DeNA戦は、東克樹のスライドと、中日が苦手な「右の剛腕投手」である入江大生・島田舜也も登板見込みと相性が悪い。ヤクルト戦も苦手の神宮だ。苦戦が予想されるが、もう余裕のない状況を考えると「最低でも勝ち越し」は必須だろう。
巨人戦の勢いを殺さず、上昇気流に乗って頂きたい。
