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第18話 何も決まってないのに、図面を描き始めた話

阿曽には観光資源がある。

鍾乳洞もあるし、湧水もあるし、滝もある。

でも、どこか活かされてない気がしていた。

「なんでなんやろ?」

そんなことを考えるようになってから、

頭の中はずっとモヤモヤしていた。

整理できていない、というよりは

何ができるのかが分からない。

何をしたらいいのか。

何をしなければいけないのか。

自分でもよく分からないまま、

でもたぶん無意識に、いろんな情報を集めていたんだと思う。

そんな状態とは別に、

現実としてひとつだけはっきりしていたことがある。

この建物は、直さなあかん。

ボロボロのままでは、何も始まらない。

何にするかは決まってない。

でも、とりあえずリフォームは必要。

ある日、方眼紙を広げた。

ちゃんとした図面なんてないから、

自分で間取りを描いてみることにした。

壁の位置、部屋の広さ、

だいたいの寸法を測りながら、

ひとつずつ線を引いていく。

これが、思ったより楽しかった。

ただの線やのに、

その時描いた実際の図面

そこに空間が見えてくる。

「ここを広げたらどうやろ」

「ここ抜いたら面白そうやな」

そんなことを考えている時間は、

不思議とワクワクした。

でも同時に思う。

これ、何になるんやろ。

カフェなのか、

店なのか、

ただの作業場なのか。

何も決まっていない。

それでも、手は止まらなかった。

何を作るかは決まってなかったけど、

何かを変えたい気持ちだけはあった。

今思えば、

このときが一番自由やったんかもしれん。

まだ何にも縛られてなくて、

何にでもなれる状態。

とりあえず描いたこの図面が、

これからのすべての始まりになるとは、

このときはまだ思ってなかった。

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