第7話 この建物、何にする?
建物は手に入れた。でも、お金はない。だから当然のようにセルフリフォームすることになった。ただ一つ問題があった。まだ何にするか決めていない。とりあえずできることから始めた。まずは高圧洗浄機で建物の外をきれいに洗った。長い年月の汚れがみるみる落ちていく。ひび割れているところを直して外観のイメージを変えようとペンキも塗ってみた。少しずつ「空き家」だった建物が建物らしくなっていく。そんな様子を近所の人たちがよく見ていた。「ここ、何になるの?」と聞かれる。「まだ決めてないんさ。」と答える。本当に決まっていなかった。でも作業をしながらぼんやり思うようになってきた。何にするか決めやなあかんな。そして同時にこんなことも考えていた。せっかくなら町の役に立つことをしたい。でも町の役に立つってどういうことだろう。そんなことを考えていた。母と一緒に過ごしていて気づいたことがあった。高齢の母でも買い物にはあまり困っていない。生協もあるし当時は近所に農協もあった。生活するだけならそれほど不自由はない。じゃあ町にあって田舎にないものって何だろう。この町の人が求めているものって何なんだろう。そう考えていると一つ思い当たることがあった。もしかするとワクワクがないのかもしれない。都会にはイベントがあるライブがある新しい店がある何かが起きそうなあの感じ。この町にはそれが少ないのかもしれない。だったらこの大紀町でワクワクすることを作れないだろうか。そんなことをぼんやり考えるようになっていた。ただ問題が一つ。僕は普通の会社員で特別な才能があるわけでもない。それでも自分の得意なことでこの町に何か貢献できないだろうか。そんなことを考えるようになっていた。もしかするとこの頃すでにASO BASEの種はここにあったのかもしれない。
