第13話 阿曽でうまくいったのに、モヤモヤした理由
龍祥寺でのJAZZライブは、結果的に大成功だった。
阿曽の静かな町に音楽が流れて、
たくさんの人が集まり、笑顔があった。
「こんな場所でこんな体験ができるなんて」
そんな声もたくさんもらった。
あの瞬間だけ見れば、間違いなく正解だったと思う。
でも、終わったあとにふと思った。
なんか、モヤモヤする。
これは、続くものなのだろうか。
一日だけの特別な出来事。
確かに賑わいは生まれた。
でも、それはその日限りのものじゃないかと。
町に必要なのは、
「一瞬の盛り上がり」ではなくて
「続いていく仕組み」なんじゃないか。
そんなことを考えるようになった。
じゃあ、まちづくりの正解って何なんだろう。
その答えを探していたとき、
多気町でひとつの講演会に出会った。
登壇していたのが
斎藤斉 さんだった。
斎藤さんは、全国各地の地域づくりに関わりながら、
「人が集まる場」や「地域に仕事を生む仕組み」を
実際に形にしてきた人だった。
話の中で印象に残った言葉がある。
「地域は、ちゃんと稼がないと続かない」
きれいごとだけでは続かない。
人が動くには理由がいるし、
続けていくにはお金が必要になる。
当たり前のことだけど、
その時の自分には強く刺さった。
イベントをやること自体が目的になっていなかったか。
盛り上がればそれでいいと思っていなかったか。
龍祥寺のライブは間違いじゃなかった。
でも、それだけでは足りない。
あの時感じていたモヤモヤの正体が、
少しわかった気がした。
「一回きり」じゃなくて
「続いていくもの」を作ること。
そしてそれは、
ちゃんと稼げる形でなければ意味がない。
じゃあ、自分は何を作るべきなのか。
少しずつ、方向が見え始めた気がした。
“イベントをやる人”じゃなくて、
“続く仕組みを作る人”になろうと思った。
