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関係性の中で生まれるもの~『プレイフル・シンキング』の読書レポート~

上田信行『プレイフル・シンキング』を読んで、私は「主体性」とは個人の内側にあらかじめ備わった能力というよりも、他者との関係性や場のあり方の中で生まれるものではないかと考えるようになった。本書でいう「プレイフル」とは単なる楽しさや遊びではなく、自ら世界に関わり、試行錯誤しながら意味をつくっていく態度であると捉えられる。そこでは正解を効率よく出すことよりも、未完成のままでも関わり続けることが重視されている。

この考え方は、私自身の経験とも重なる。私はこれまで、リーダーが楽しそうに動いている場に惹かれ、その人のそばで活動したいと感じることが多かった。しかしその動機は単なる雰囲気ではなく、その人が何を大切にし、どのような思いで場をつくっているのかに触れたときに生まれるものである。場の考え方に共感できると、その場は単なる作業の場所ではなく、自分も関わりたいと思える意味のある集まりとして感じられ、内側からの動機づけが生まれる。

また私は中高生と関わる活動の中で、発言が出にくい場面では自分から話したり、最初に軽く意見を聞いたりすることで空気を和らげることを意識していた。その結果、徐々に他の参加者も発言し始める経験があった。この経験から、人は単に自由だから主体的になるのではなく、「ここなら受け止めてもらえる」という安心感、すなわち心理的な安全があるときに初めて主体的に関わることができるのだと実感した。これはサーバント・リーダーシップの考え方とも重なる。サーバント・リーダーシップとは、リーダーが強く引っ張るのではなく、相手の話を丁寧に聞き、安心して参加できる環境を整えながら支えていく考え方である。

一方で、強く方向づけられるリーダーシップが常に良いとは限らない。特に関心が薄いテーマや準備ができていない段階では、明確に引っ張られることが負担となり、自分から関わる余白が失われてしまうことがある。そのため、答えを与えるのではなく、関わり方に余白を残しながら見守るようなリーダーのほうが、自分にとっては参加しやすいと感じられた。

さらに、このような関係性の中で主体性が生まれるのは、安心できるからという理由だけではなく、他者の関わり方によって自分の考えや行動の意味が変化していくからだと考える。誰かが本気でその場に関わり、何を大切にしているのかが伝わると、その価値観に触発され、自分もこの場にどう関わるべきかを自然と考えるようになる。つまり主体性は与えられるものではなく、他者との関係の中で「自分も関わりたい」という意味づけが内側に生まれることで立ち上がるものだといえる。

このように考えると、組織とは管理する対象ではなく、人と人が関わりながら意味を一緒につくっていく場として捉え直すことができる。サーバント・リーダーシップが重視するのも、リーダーが前に立って指示することではなく、メンバーが安心して関われる環境を支えることである。プレイフルな場では、このような関係性が人の内側からの動機を引き出し、主体性が自然に生まれていくのだと感じた。『プレイフル・シンキング』は、主体性を個人の性質ではなく関係性の中で生まれるものとして捉え直す視点を与えてくれる本であった。

さらに言えば、こうした主体性の立ち上がりは偶然ではなく、場の設計や関わり方によって生まれやすくなるものである。誰かが楽しそうに関わることや、意見が受け止められる経験が積み重なることで、参加の仕方は少しずつ変化していく。主体性は個人の中に固定されたものではなく、関係の中で育っていくものだといえる。

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