見出し画像

「落語のネタ帳・食べ物編‥その7」&「座るということ」

復刻版「清八のちりとてちん」その31~32

「落語のネタ帳・食べ物編‥その7『京の茶漬け』」(2004.8.24)

 清八でございます。
 前回のコラムからまだ真夏日は減っておりません。こんな暑い時には、映画館の中が一番と「ハリー・ポッター」「サンダーバード」「シュレック2」「スパイダーマン2」そして「東京原発」と、立て続けに観ておりました。あるシネマ・コンプレックスでは、他の飲食店からの持ち込み禁止とされておりますから、高いビールとポップコーンとかホットドッグを購入して入るのですが、他飲食店からの持ち込み禁止とするのなら、ジャンクフードでもかまわないので、もっと種類を増やしてもらうことはできないのかと、いつも考えてしまいます。
 8月10日発行の文春文庫「猫めしの丸かじり」(東海林さだお著)に、「ポップコーンの癒し」というコラムがありました。「‥ポップコーンは映画館で食べることが多い。誰もが知っていることだが、映画館でセンベイを食べると音がうるさい。しかし、映画を見ながら何かを食べたいという人は多い。映画館のほうも、観劇料のほかに何か売って儲けたい。食べても音のしない菓子がいい。そういうコンセプトで、1988年、セントルイスの映画業者によって開発されたのがポップコーンなのです。(ウソです)‥」。となみに、私は他飲食店からの持込みを禁止していない映画館に、缶ビールにカレーパンとツナサンドを持ち込んで観ております。

「ポップコーン」(著作権フリー画像より)

 ここまで書いてきてもテーマが定まりませんので、京都の落語を一席。
 この夏も京都は観光地としては独り勝ちのようです。7月の暑い暑い時期に「祇園祭」があって、貴船や鞍馬に行けば、涼しい床料亭があって、平日でも祇園に行けば、浴衣や和服の女性が夕涼みをしている風情があります。しかも、ホテルも旅館も夏期価格とネット割引で半額になっていたりして、この暑さでも観光客は減っていないんだそうです。ところで、大阪人というと「けち」「しぶちん」というイメージがありますが、本当は京都人の方が「しぶちん」です。もっとも、地元では、これ食べられないシステムになっております。経営者や板前さん側の理由は、お客様に合わせた食材を確保するためなのですが、「しまつ」ですから、捨てるモノを極力減らすというゼロミッション都市という大仰な言い方をされる方もいらっしゃいます。
 さて、「京の茶漬け」という言葉があります。人が来てもいろいろと話をして、ほんならもうおいとましますと、お尻を上げて帰りかけると「あのォ、なんにもおへんのどすけど、ちょっとお茶漬けでも‥」と、こない言うんです。ほな、言われた方は、履きかけた靴をまた脱いで、「さよかぁ、ほなよばれまっさ」言うてあがりませんな。「いや、どうぞお構いなしに」と帰ってしまいます。一ぺんや二へんなら忘れてしまいますけど、三べん、四へんとやられると、だんだんと腹立ってきて、ある物好きな奴が、このお茶漬けを食べたさに、わざわざ大阪から京都まで電車賃を使うて行ったという話でございます。

「お茶漬け」(著作権フリー画像より)

 「‥今朝七時に家出ましてねぇ、二軒廻ってお宅が三軒目になっとりまして‥。そうですかぁ、もうお昼でっか。‥‥あのぅ、この辺に、何かちょっと食べるもんとってもらえるような店おまへんやろかな?うどん屋さんでも‥」「鈍な処でしてな、この辺は何にもあらしまへんのどっせ。あの新京極のほうへでもお行きやしたら、結構なお店がぎょうさんあんねんけど‥」「‥こたえんなぁ、これは。‥いや、えらいお邪魔を致しました。旦さんがお帰りになりましたらな、よろしぅお伝えを‥」「まぁまぁ、せっかくお越しどしたのに、えらいお愛想なしですんまへなんだ。あのぅ、何にもおへんのどすけど、ちょっとお茶漬けでも」。この嫁はんも癖になってるもんでっさかい、相手が背中を向けるなり言うてしもた。
 もぅ、しょうがない。台所に行って、お櫃の底に心細う残っているご飯を一膳盛り付けて、たっぷりとお茶を注いで、漬物と箸をそえて、「まぁ、何にもおへんのどっせ。まぁ、お口よごしに‥」「えらい、すんまへんなぁ、ほな遠慮なしに頂戴いたします。‥‥あぁ、ほんまの茶漬けやな。おかずも無いがな。‥‥もう、しまいやで‥‥、一膳飯ちゅうのはないで、こっち向かへんがな。こっち向け、こっち。‥‥このお茶碗は良えお茶碗ですなぁ。これは、良え清水焼でんなぁ。こんなん大阪へ土産に買うて帰りたい。このお茶碗は、どこでお求めになのましたぁ‥」と、空の茶碗、向こうへ突きつけた。
 嫁はんのほうも、もう知らん顔はできしまへん。負けん気で殻のお櫃を突き出して、「これと一緒に、そこの荒物屋で買うた」
 へい、お疲れさまでした。

「座るということ」(2004.9.14)

 清八でございます。
 やっと秋の気配が感じられる今日この頃です。
 急に思い立って11~12日で、長野県の戸隠村に行ってきました。本場の蕎麦を食べて「ちりとてちん」とリンクしております、森の中の喫茶店「パイプのけむり」にも一年ぶりに立ち寄ってきました。森の中は、お昼で20度、クーラーも扇風機も不要の、秋の風が本当に気持ちよく、ビールを飲んできました。
 さて、今回のお題は「座るということ」。
 昨年、「たばこ」について書かせていただきました。法律の改正により「灰皿を置かない」お店が増えてきましたが、小さなスペース(ごめんなさい)でも無理に喫煙スペースが設けられていたり、エアーカーテンも換気扇も無いのに1メートル隣が喫煙席というお店も存在しております。この時、書かせていただいたのは、お店側もそうですが、お客様側はどうなんでしょうか、という事でした。例えば、懐石料理とかコース料理で、次の料理が運ばれてくる間に辛抱できなくなって、吸ってしまう方には、どのような理屈がおありになるのでしょうか。カウンターのみの料理店(高級と言われている)で、しかも灰皿の置いてないお店で、自分勝手に火を着けてしまって「何で、灰皿がないんだぁ!」と責任転嫁されているお客様、いらっしゃいますよね。といった、お店側では口に出来ないクレームを取り上げさせていただきました。一年では、世の中は変わらないとは思いますが、何とかできないものでしょうか。
 偏見だと言われたら、それは「ゴメンナサイ」なのですが、焼肉食べ放題やバイキング方式のお店では、椅子席でもお座敷席でも「立て膝」や体を捩じって食べている方がおられます。これは決して10代の方だけではありませんね。ご家族で、旦那さんや奥様の方が見てて、おもろいような姿勢で食べられている方、ありますよね。「座れなくなっている」方が多くなってきているように思います。これは、正座とか座禅というレベルの話ではありません。うちのおばちゃん(奥様)は、若い頃から、茶道・華道の初心者のためにお手伝いをしてきたのですが、三分も座れないお嬢様には困っているそうです。それも着物ではなく、スカートでも、という事です。

「ある食事シーン」(著作権フリー画像より)

 私が学生時代のエピソードです。浜松市内のある有名な女子高の「落語研究会」のコーチを二年間させていただきました。創部された時に、PTAのお母さま方から「人前で笑われる事を教えないで下さい!」とか「芸人の真似事ををさせないで下さい!」とか、たくさんのご批判をいただきました。しかし、説得できたのは「着物を自分で着て、舞台を歩いて、たくさんの人の前に格好良く座って、頭を下げて、挨拶を出来るようになりますから‥」という説明からでした。海外旅行のご経験豊富な方々は、おわかりになっていると思いますが、ヨーロッパの三ツ星レストランでは、どんな高級ブティックのドレスを着ていくよりも着物の方か、良い席に案内され、サービスが良いのです。それは「立ち居振る舞い」が限りなくかっこいいからです。和食でも中華でもフレンチでもイタリアンでも、どんな高級と言われているレストランでも、おいしく食べ、楽しい空間を共有できるのは「立ち居振る舞い」だと思うのですよ。椅子席でもお座敷席でも、他人に見られて心地よい「立ち居振る舞い」、特にマナー教室に通ったわけでもないのですが、私は「落語」を聴いて、「落語」を演ずることで教えていただきました。

「本果寺寄席の高座」(2025.3.30)



いいなと思ったら応援しよう!