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『HALLOWEEN NIGHT』

深い、深い森の海を、どれほど彷徨われたのでしょう。
よくぞ、ここまで辿り着かれましたね。打ち捨てられし都へ。
あなた様のような、まだその目に光を宿した方がお見えになるのは、随分と久しぶりのことにございます。
…お目当ては、やはり『月の秘宝』でございますか。
古の使徒が遺したという、その輝きに誘われて。

ええ、ええ、無理もございません。
その噂は、朽ち果てたこの地を除いた日の本の隅々まで、甘い毒のように広がっておりますから。
ですが、これまで宝を求めてこの森に入った者で、その輝きを目にした者は一人もおりませぬ。
…そして、森から生きて出た者も。

この都にいる者たちが誰だと思いますか?
…ふふ、あなた様と同じ、夢追い人たちの成れの果てでございますよ。

お聞かせしましょう。
この都が『死都』と呼ばれるようになった、哀しい哀しい、おとぎ話を。

ですが、帝の永らえを願うあまり、ある側近が愚かな考えを起こしたのです。
「もしや、永き時を生きれば、再び姫にまみえる日が来るやもしれぬ」と。
その者は、燃え盛る煙の残り香を、一筋だけ
…帝に嗅がせてしまったのです。

ああ、なんと哀れなことでしょう。
帝のお身体は不死となりましたが、その御心は、姫を失ったあの日に砕け散ったまま。
生きながらにして死に、眠りもせず、ただただ、天上の姫を想い続ける、空っぽの器と成り果てました。

そして、年に一度だけ。
そう、十月の終わりの、この夜に。
千年の孤独に狂われた帝は、あの方を探して、亡者の従者たちと共に、都を練り歩かれるのです。
美しく飾られた神輿にお乗りになってね。
かつての栄華を真似るように。

…ほら。

耳を澄ませてごらんなさい。…聞こえてきたでしょう?
ひび割れた喉で謳う、哀しき唄が。
あれは帝の行列が来た合図。

さあ、今すぐお逃げなさい。
振り返らずに。 捕まってしまえば、あなたもあの行列に加わることになる。
永遠に姫の面影を追い求め続ける、哀れな亡者の一人として…。





今回は夏目さんの「ハロウィンアートイラスト2025」企画に
参加させていただきました。

#ハロウィンアートイラスト2025


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