「第3回奥多摩ブックアドベンチャー」レポート
2025年11月1日(土)、奥多摩の廃校(旧小河内小学校)で、「第3回奥多摩ブックアドベンチャー」を開催しました。
主催は奥多摩ブックフィールド、奥多摩町からご後援をいただきました。

(天気の良い時に撮影。当日は雨の予報だったが早朝に雨は止み、天気が奇跡的に回復した)
プログラムは、トークと展示。
オープニングトークには六次元主宰・美術家のナカムラクニオさんに登壇いただきました。今回は、教室を使った「THE LIBRARY」展も行っていただきました。トークのタイトルは「残す、直す、伝える」。奥多摩ブックフィールドは、廃業した出版ニュース社の蔵書や、出版科学研究所が所有していたベストセラーや創刊号をアーカイブしていますが、ナカムラさんも某出版社の蔵書類の保存に関わりました。最近では荻窪の六次元を拠点に、諏訪と輪島の古民家でも、金継ぎや文化財のレスキューに取り組んでいます。今までの活動を紹介しながら、終盤では今回展示した古文書に話が及びました。それらはナカムラさんのアトリエの隣にある旧家の質屋に所蔵されていたものでしたが、被災し、泥にまみれ捨てられる運命にありました。それらをナカムラさんが救出しました。「平家物語」「御成敗式目」「徒然草」など、江戸時代~明治初期に出版された和書を、泥を落とし、補修などを行い蘇らせました。

もう一つの展示は、「本」を中心にユニークな企画に取り組む1nekoさんによる「選択の事由」展。昨年はカフカの「変身」の版やデザインの(微妙に)異なる文庫本の表紙を数十冊にわたり展示し、度肝を抜かれましたが、今回は一転して現代アートの趣き。一件同じように見える写真や時間の移ろいを円環上に展示。そこに、お札も展示されていますが、その理由は全て同じに見えますが「附番が異なる」。書皮コレクター的な視点では、チェーン店などでそこに印刷されている店名が異なると、それらは別物とみなすことと発想は同じように感じました。

クロージングトークでは、奥多摩町が発行する「BLUE+GREEN JOURNAL」を編集しているミゲルの曽田有紀子さん(編集長)と宇都宮浩さんに登壇いただきました。2016年に浅草から奥多摩に事務所、自宅共々移しました。編集プロダクションの仕事内容や手掛けた出版物や雑誌を前半部分で紹介、後半では「BLUE+GREEN JOURNAL」についてお話いただきました。創刊号は、町の募集に申し込み、補助金事業としてスタートしましたが、町に提案し、現在は「奥多摩町で暮らすことの豊かさ」を広く実感してもらうための町の公式フリーペーパとして継続しています。内容については、町からモノ申されることはないとのこと、それが同誌の魅力を高めているのでしょう。17号の特集は「奥多摩を読む、奥多摩で読む。」で、一部のコンテンツは今回のイベントにも活かされています。


2つの企画展示に加え、教室を利用して出店(展)を募り、企画展を含め、十数団体・企業にご参加いただきました。
参加団体・企業・企画は、まちライブラリー、奥多摩ブックフィールド、東京最西端書店・雑貨蚤の市、十七時退勤社、ナカムラクニオ「THE LIBRARY」展、1neko 「選択の事由」展、どむかコレクション「書皮展」、移動書店「ハリ書房」、おくたま読書会、平河工業社、食文化研究所書店、ミゲル、ショーン・タンとエドワード・ゴーリーの店(みにさん・田中優子事務所)、月とコンパス、共同保存図書館・多摩(多摩デポ)、本の学校、ハレル舎、「のしてん・こだいら。」、破船房/ろくまる社、イワイコオイチ、など。移動書店や出張書店による新刊の販売や、出版物・ZINE・グッズ、作品・取り組み発表から飲食サービスまでバラエティーに富んだ内容となり、来場者と出店者の交流の輪が広がっていました。出会いだけでなく、偶然の再会の場にもなっていたようです。



奥多摩ブックフィールドがある旧職員室では十七時退勤社が、芋煮に加え、今年はぜんざいにもチャレンジ、TOKYOわさびのお稲荷や菓子なども振舞いました。
参加者は60人超で、前回の1.5倍となりました。都心部からだと大阪よりも遠い(最寄り駅の奥多摩駅からバスで30分)と言われているこの地で、「本」を話題に多くの方々と一緒に、濃く、楽しいも間を過ごすことができました。ご来場いただいた方々に感謝感謝、イベントを支えていただいたまちライブラリーや十七時退勤社のメンバーや関係団体・関係者の皆さんにも感謝感謝です。
イベントは年に1回ですが、原則毎月第一土曜日午後に奥多摩ブックフィールドを開室しています。蔵書数は約1万五千冊、本に関わるマニアックなコレクションも展示しています。(本好きの人であればきっと)この一部屋で優に半日楽しめます。通常の開室日にも、皆さんのご来室をお待ちしています。


