『葬送のフリーレン』の指輪を見て、宝石屋として計算してしまった話
フリーレンを見て泣いていた
ここ数日、『葬送のフリーレン』のアニメと漫画を見て過ごしていました。シーズン1から見ていますが、日常の場面、戦いの中での想い、別れの瞬間。気づいたら涙が頬を伝っています。
色々な方が考察しているのを見て、こんな奥深い内容とは思いませんでした。
魔王を倒した後の物語、というだけ聞くと凱旋の話のように思えますが、実際はまったく違います。
長命のエルフであるフリーレンが、短い命を生きる人間たちとの別れを繰り返していく。時間の流れ方が人間とは根本的に違う存在が、それでも人の心を理解しようとする物語です。
若い頃は全く泣かない人間でした。それがこんなに涙もろくなるとは思っていませんでしたが、それはまた別の話です。
宝石屋の職業病
フリーレンを見ていると、指輪やアクセサリーが随所に登場します。ヒンメルがフリーレンに贈った指輪、フリーレンの髪飾り、旅の中で出てくるアクセサリーの数々。
ファンタジー作品には宝飾品が物語の核心に絡むことが多く、フリーレンもそうです。指輪一つが、長い時間の記憶を繋ぐものとして登場する場面は、宝石屋として見ていても心に刺さります。
いつか書きますが、映画「ロード・オブ・ザ・リング」で登場する「ひとつの指輪」も同デザインで作っています。
そしてボクは宝石屋なので、こういったものを見るとつい頭の中で計算してしまいます。「これ、実際に作ったらいくらだろう」と。
感動しながら同時に見積もりが動いています。30年やっていると止められません。
実際に計算してみた
公式グッズとしても販売されている鏡蓮華モチーフのリング。花言葉は「久遠の愛情」です。この指輪は劇中で恋人に贈る風習があるとされ、ヒンメルからフリーレンへの深い想いが表現されたもの。
アームに葉の彫りが入り、片側に粒状のデザインが施された繊細なデザインです。
シンプルに見えますが、こういった細部の仕上げには職人の手間がかかります。鋳造で形を作り、デザインを整え、磨き上げる。工程は決して少なくありません。
重さはおそらく4〜5グラム程度。小ぶりですが細部の仕上げに手間がかかるタイプです。
これをプラチナで製作した場合、加工賃や技術料を含めた販売価格はおよそ25万円以下になります。
では18金で作ったらどうか。30〜35万円程度になります。
「プラチナより18金の方が高いの?」と思われる方も多いと思います。これは今の地金相場の話です。金の価格がここ数年で歴史的な水準まで高騰しており、今やプラチナを上回る状況が続いています。
かつてはプラチナの方が高価というイメージが一般的でしたが、今はそうではありません。ジュエリーを選ぶときに素材の話が予算に直結する理由の一つです。知っておいて損はない話だと思っています。
公式グッズにはできないこと
グッズとして売られている指輪はシルバー製で、デザインも固定されています。サイズ展開も限られていることがほとんどです。
でもオーダーメイドなら、素材をプラチナや18金に変えることも、自分の指のサイズに合わせて製作することも、中央に小さなダイヤモンドやカラーストーンを留めることもできます。公式グッズをベースにしながら、本物の貴金属で仕上げるという方法もあります。
好きな作品の指輪を、本物の素材で手元に置く。そういう楽しみ方もあると思っています。ジュエリーは身につけてこそですから。
宝石屋が計算するシリーズ
以前、クロちゃんの婚約指輪について同じように計算した記事を書いたところ、思いのほか多くの方に読んでいただきました。
「気になっていたけど聞けなかった」という話は、案外たくさんあるものです。専門家でないと分からない価格の話を、できるだけ正直に書いていこうと思っています。
フリーレンに限らず、気になる指輪やアクセサリーがあれば計算します。お気軽にどうぞ。
